【記事74500】北海道地震、泊原発外部電源喪失 4町村、住民に周知せず(東京新聞2018年9月14日)
 
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北海道地震、泊原発外部電源喪失 4町村、住民に周知せず

 北海道の地震による停電の影響で、北海道電力泊原発(泊村)の外部電源が一時喪失した事実について、同村など地元の四町村が、防災無線などで住民に周知していなかったことが分かった。北海道電と結ぶ安全協定では、四町村が今回のケースを住民に周知する義務はなく、道は「問題はなかった」と説明する。だが、停電の解消後にニュースで事実を知った住民からは不満や懸念の声が上がっている。(小沢慧一)
 震度2だったが、泊原発は六日午前三時二十五分に外部電源を全て喪失。1〜3号機は現在停止中だが、プールには使用済み核燃料が計千五百二十七体あり、七日間の発電が可能な非常用発電機六台を使って冷却を続けた。
 東京電力福島第一原発事故では、外部電源を喪失後に非常用電源も津波で失って「全電源喪失」に。泊原発は約九時間半後に外部電源が復旧して設備などに損傷はなかったが、復旧が長引けば危険な状態に陥る可能性もあった。
 今回、安全協定に基づいて北海道電は道と四町村に原発の電源喪失の事実を通報。泊村、共和町、岩内町、神恵内(かもえない)村は地震当日、地震の発生と停電の状況は防災無線や広報車を使って周知したが、電源喪失の情報は流さなかった。
 道によると、緊急事態の通報・公表基準は安全協定で定められている。放射能漏れや原子炉の停止が必要な事態などの場合は、四町村が住民に周知する義務があるが、外部電源の喪失は該当しなかった。
 泊村の担当者は「状況に応じて独自に情報を流す場合もあるが、今回は非常用電源も問題なく作動しており、流す必要はないと判断した」と話す。北海道電や原子力規制庁は電源喪失の事実をサイトや会見で発表し、道もサイトで公表していたが、停電で住民はテレビを見られなかった。地元住民は「いざというときに逃げ遅れる」と憤っている。

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