[2021_02_16_01]社説(2/16):震度6強の余震/収まらぬ地下変動に要注意(河北新報2021年2月16日)
 
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社説(2/16):震度6強の余震/収まらぬ地下変動に要注意

 「まだこれだけの破壊力を残していたのか」。2011年4月7日、宮城県内で震度6強を観測した東日本大震災の余震について、小欄はこう表現した。
 この時は本震から約1カ月後だった。10年後に再び震度6強の余震に見舞われるとは予想もしなかった。がくぜんとする思いである。
 地震が起きる時、震源域にたまり続けたひずみが限界に達し、地盤をはね上げたり、破壊したりする。
 しかし、ひずみは一度に全て解放されるわけではなく、不安定な状態は続く。これが余震を生む。
 13日午後11時すぎに起きた余震の震源は福島県沖で、深さは55キロだった。3・11の震源地(深さ24キロ)より深かったため、隆起の変化が海面に届かなかった。
 大きな津波を起こさなかったのは幸いと言える。
 東日本大震災の震源域は、青森県から茨城県まで南北に長い。それだけ余震域も広く、大きなエネルギーを残していることを今回の揺れは示している。
 うんざりしたくなるが、政府の地震調査委員会によると、「しばらく余震は続く」という。警戒を緩めないようにしたい。
 地震のメカニズムは幾通りかある。今回は、太平洋プレート内で逆断層のずれを起こした海溝型とされる。
 深夜にゆったりとした揺れが続いた。10年前の感覚に陥った方も多いだろう。
 なかなか収まらず、目まいさえ覚える。揺れてから戻るまで数秒かかる「長周期地震動」と呼ばれ、福島県中通りで、4段階で最大の「階級4」を観測した。
 立っていられず、はって歩く。家具が移動して倒れる物もあるなどの被害をもたらす。地盤の弱い地域で起こりやすい。
 関東まで広い範囲で揺れたのも、長い周期の波が遠くまで達したことを現している。
 大きな建造物ほど影響を受ける。東京などで高層ビルの上階が揺さぶられ、停電する事態になった。
 その一方で短い周期の揺れに翻弄(ほんろう)され、被害を受けた施設もあった。
 東北新幹線では電柱が折れ、傾く事態となった。小さな構造物は短周期の揺れに弱い。強い力を受けて損傷したとみられている。
 気象庁の担当者は「大きな地震ほど、長短さまざまな周期の波が混じり合う。地域や構造物によって異なる反応をする」と話す。
 それでは、どう備えるか。高い所に物を置かず、家具を固定するのもいい。
 沖合を震源とするケースでは、揺れが陸地に到達するまで少し余裕がある。緊急地震速報が鳴ったら、火を消すなどの行動をお願いしたい。
 早く収まってもらいたいが、おさおさ怠りなくと心に留めておきたい。
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