[2021_12_01_11]F16タンク落下、民家の20m先 米軍三沢、深浦町に陳謝(東奥日報2021年12月1日)
 
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F16タンク落下、民家の20m先 米軍三沢、深浦町に陳謝

 米軍三沢基地所属のF16戦闘機1機が飛行中に燃料タンク2個を青森県深浦町内と岩木山付近に投棄した問題で、町中心部で見つかった金属製物体がタンクの1個と判明し、民家から約20〜30メートルしか離れていなかったことが1日、防衛省などへの取材で分かった。米軍は当初、投棄場所を「岩木山近くの非居住地域」と発表していた。残りのタンク1個は見つかっていない。
 タンク1個が見つかった深浦町の現場は国道101号沿いにあり、町役場にも近い。周辺には住宅なども並び、日中から夕方にかけて車両や人の往来も比較的多い地域。
 米軍三沢基地から説明を受けた三沢市によると、F16は30日、同基地を離陸して演習に向かう途中、2機編隊のうち1機にエンジンの油圧低下を示す表示が出たため、操縦士がマニュアルに従い、機体を軽くするため燃料タンク2個を投下した。その後、F16は同日午後6時10分ごろ、青森空港に緊急着陸。米軍は1日、基地内の同型機の飛行を中止して点検を実施した。未発見のタンク1個については、上空からセンサーで探しているという。
 米軍三沢基地のティモシー・マーフィー副司令官、鬼木誠防衛副大臣らが1日、相次いで深浦町と県庁を訪問し、一連の事態を陳謝。副司令官は、非居住地域とした当初の発表について「心情を傷つけて遺憾に思う。初動でうまく情報が入らなかった」と釈明した。吉田満町長は「過疎の町とはいえ、安全を第一に考えないと(町民に)わだかまりができる」と、再発防止を米軍に強く要請。報道陣の取材には「2個目のタンクが落下したのも町内の山林かもしれない。落下事故が多すぎると、日米の信頼関係にヒビが入る」と懸念を示した。
 県庁で副司令官と面会した三村申吾知事は「一歩間違えれば大変な惨事。県民に不安を与え、民生の安定を損なうとともに、米軍の安全管理体制に対する不信感を増幅させる」と抗議。副司令官は「県民の皆さまにご迷惑、ご心配をお掛けしたことをおわびしたい」と述べる一方、投棄した操縦士が「緊急事態が発生したので、取るべき手順にのっとり、無事に機体を空港に下ろす判断ができた」などと話していたことを明らかにした。鬼木副大臣も三村知事に陳謝し「日米同盟の最も重要な基盤は地域の皆さまのご理解。日米の情報共有を密にし、関係自治体にも十分に情報を提供、不安と懸念を払拭(ふっしょく)できるように努める」などと述べた。
 一方、岸信夫防衛相は1日、米軍が投棄場所を当初「非居住地域」としたことについて報道陣に問われると、「いずれにしろ地元の懸念と不安を払拭できるようしっかりと対応したい」と答えた。
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