[2021_12_01_14]住民「よく生きていたな」 米軍機投棄の燃料タンク、民家近くに(毎日新聞2021年12月1日)
 
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住民「よく生きていたな」 米軍機投棄の燃料タンク、民家近くに

 米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が11月30日に県内で燃料タンク2個を投棄し、うち1個とみられる部品は民家から約20メートル離れた国道で発見されたことが判明した。
 燃料タンクが見つかったのは、深浦町役場に近く、JR五能線もそばを走る町中心部の国道付近。民家が点在し、最寄りの住宅からはわずか約20メートルの距離だった。この家に住む看護師の島元由香利さん(54)は当時、家で「ドーン」という大きな音を聞いた。外に出ると油の臭いが立ち込めていたという。「よく生きていたなと思う。一歩間違えれば家が潰れて死んでいた。許せない」と語気を強めた。近くに住む漁業の千崎輝夫さん(83)は「最初は地震かと思った。米軍が置かれていることは危険と隣り合わせなんだと改めて感じた」と語った。
 一夜明けた1日も、現場は物々しい雰囲気に包まれた。消防隊員は路上に広がった燃料を取り除く作業に当たり、午後には複数の米軍関係者がタンクの一部とみられる部品を撤去した。
 町役場を訪れ、吉田満町長と面談したマーフィー副司令官は、最初の発表で投棄場所を「岩木山付近の非居住地域」としたことにも言及して「皆さんの心情を傷つけ、申し訳なく思う」と陳謝。「操縦者は短時間で判断せざるをえず、緊急事態に取るべき手順で最大限努力した」と釈明した。吉田町長は「このような事態が起き、憂慮している」と非難し、「最悪の状況を考えて訓練をしてほしい。町民の気持ちにわだかまりが残れば、双方にとって良くない」とくぎを刺した。
 自衛隊関係者によると、F16のようなエンジン1基で飛ぶ単発機でエンジントラブルが発生した場合、機体を軽くしたり空気抵抗を減らしたりして飛行距離を稼ごうと、外付けの燃料タンクを切り離すことが多いという。「被害が出ないような場所に落下させるのが理想だが、米軍のパイロットがどこまで周辺の地理や地形に精通していたのか分からない」と話す。【丘絢太、江沢雄志、松浦吉剛】
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