[2021_12_02_04]米軍三沢のF16飛行訓練再開、知事は「遺憾」(東奥日報2021年12月2日)
 
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米軍三沢のF16飛行訓練再開、知事は「遺憾」

 米軍三沢基地(青森県三沢市)所属の複数のF16戦闘機が2日、基地周辺で飛行訓練を再開した。同基地のF16は先月30日、飛行中に燃料タンクを深浦町内へ投棄しており、防衛省は1日、在日米軍に対し安全が確認されるまで国内での飛行を見合わせるよう要請していた。同省担当者や三村申吾知事は飛行再開について、「安全対策の説明がないまま飛行を再開したことは極めて遺憾」とし、米軍に説明を求めていく姿勢を示した。一方、捜索中だった2個目のタンクは2日午後、町内の山林で見つかった。

 F16戦闘機は同日午後、事故で落下したものと類似した燃料タンクを搭載して飛行を再開。滑走路上を低高度で飛ぶ「ローアプローチ」を行う機体もあり、周辺にはごう音が響いた。防衛省も同基地の戦闘機が飛行していた事実を認識した上で、「事故原因や安全確保について米側に確認する」とした。
 三村知事は2日、文書でコメントを発表。「本県に説明がないまま飛行が再開されたことは、地域住民の感情を逆なでするもの。米軍に対する県民の不信感を増大させかねず、厳しく受け止めている。誠に遺憾」とし、近く国に出向いて米軍側へ強く抗議するよう要請する考えを示した。
 三沢市の小桧山吉紀市長は同日、「安全が確認されるまで訓練を実施しないでほしいと米側に申し入れているが、その考えに今も変わりはない」と談話を出した。三沢基地周辺の町内会でつくる「三沢基地周辺町内連合会」の種市光雄会長は「事故原因が判明しないままでF16を飛ばしてほしくない。それが市民の総意なのに、三沢に機体すら戻らない状況で飛行を再開するとは論外だ」と憤った。
 米軍関係者が捜索していた2個目のタンクは2日午後2時ごろ、同町深浦大館の山林で見つかった。回収したタンク部品の大部分は米軍専用車両で運び出された。米軍は当初、深浦町と岩木山付近に投棄したと説明していたが、発見場所は同町内で、1個目の現場からわずか700メートルしか離れていなかった。
 タンクを投棄したF16が緊急着陸した青森空港では2日午前11時ごろから、米軍関係者数人が駐機場で機体周辺の雪かきを始め、午後4時ごろまで整備や点検を行った。翼付近に取り付けられた部品を取り外して運び、コックピットや機体の細部を念入りに点検したとみられる。
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