【記事16431】十勝沖の地震活動の評価(地震調査委員会2003年10月9日)
 
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十勝沖の地震活動の評価

○9月26日4時50分頃に十勝沖の深さ約40kmでマグニチュード(M)8.0の地震*(最大震度6弱)が発生した(第118回地震調査委員会評価文「2003年9月26日十勝沖地震の評価」参照)。この地震により、北海道から東北地方にかけての太平洋沿岸で津波が観測された。これまでの調査によると、十勝港(検潮所)で2.5m、百人浜〔北海道幌泉郡えりも町(ほろいずみぐんえりもちょう)〕で遡上高 4.0mなどの津波が確認されている。地震活動は本震−余震型で、余震活動は減衰してきている。10 月9日 16時までの最大の余震は、9月 26 日6時8分頃の M7.1 の地震(最大震度6弱)で、余震域の南西端付近で発生した。

○GPS 観測結果によれば、今回の地震に伴い、北海道の広い範囲で地殻変動が観測された。襟裳岬周辺では南東に大きく移動しており、広尾観測点では南東方向に約 97cm 移動し、大樹2観測点では約 28cm 沈降したことが観測された。これらの GPS 観測結果から解析された震源断層モデルの大きさは、余震域の大きさと概ね整合している。また、本震の発生後 10 月 8 日までに、えりも1観測点やえりも2観測点で南東方向に引き続き5〜6cm移動するなど、襟裳岬付近を中心に北海道の広い範囲で余効変動が観測されている。余効変動による地殻変動パターンは、本震のそれと類似しており、規模は小さいものの本震発生以降に震源域付近のプレート境界がゆっくり滑っていると推測される。
○今回の地震は地震調査委員会が想定していたM8クラスの十勝沖のプレート間地震であると考えられ、地震観測による震源過程の解析によれば、大きなずれ破壊を起こした領域は1952年十勝沖地震(M8.2)とほぼ同じところと推定されている。

○今回の地震以降、北海道のほぼ東半分の領域で地殻内の浅い地震活動が活発化している。

○10月9日 18 時から3日以内および7日以内にM6.5 以上の余震が発生する確率は、それぞれ約20%、約40%と推定される。M6.5程度の余震が発生した場合、大きいところでは震度5強程度の揺れになると推定される。また、M4.3(ほぼ震度1以上を観測する規模に相当)以上の余震の発生数は10月末頃には1日あたり1回程度になると推定される。

*:今回の地震に対し、気象庁は「平成15年(2003年)十勝沖地震」と命名した。

(後略)

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