【記事26290】揺らぐ地震学 予知予算_乏しい成果(朝日新聞2011年10月18日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 純米吟醸でお清めされた長さ8.2メートルの金属棒が、やぐらにつるされ、地下514bの穴にゆっくりと下りていった。
 岐阜県瑞浪市で9月、ひずみ計と呼ばれる岩盤のわずかなゆがみを検出する機器が埋められた。費用は約2億円。ひずみ計は、気象庁などが東海地震の予知を目指して34カ所に設置して、前兆となる岩盤の変化をとらえようとしている。
 だが、前兆があるかは、24時間態勢で監視する気象庁も「わからない」。東海地震と同じ海溝型地震だった東日本大震災では同種の前兆は確認されなかった。(中略)
 日本では95年、阪神大震災への警告を出せなかった地震学者が批判された。
 その教訓で政府は地震調査研究推進本部を設立。直前の予知ではなく、将来、大地震が起こる場所や規模を予測して、その発生確率を示す「長期評価」を続けてきた。東海地震は30年以内に起きる確率を「87%」と算出された。前首相の菅直人は、これを浜岡原発を止める理由とした。
 だが、長期評価もほころんでいる。
 00年の鳥取県西部、04年の新潟県中越、05年の福岡沖、07年の能登半島、08年の岩手・宮城内陸、いずれの地震も長期評価の対象外。そして東日本大震災。
 長期評価は、同じ場所で同規模の地震が繰り返す考え方が前提だが、過去に地震を起こした活断層の調査は十分でなく、古文書に残る地震も解釈がわかれる。元地震予知連会長の茂木清夫は「役立たないわけではないが、あまり信用しない方がいい」と話す。

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