[2021_07_19_01]原電幹部「資料書き換え知りながら修正指示せず」 敦賀原発巡り(毎日新聞2021年7月19日)
 
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原電幹部「資料書き換え知りながら修正指示せず」 敦賀原発巡り

 原子力規制委員会は19日、日本原子力発電が敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の安全審査の資料を無断で書き換えたことを受けて会合を開き、日本原電が社内調査の途中経過を説明した。日本原電の幹部が審査の途中で書き換えを把握しながら「問題ない」と判断し、修正を指示しなかったことを認めた。
 書き換えがあったのは、敷地内の地質データに関する記述。2020年2月の規制委の審査会合で発覚した。資料の書き換えや削除は計80カ所で確認されている。
 19日の会合で、日本原電側は、審査資料を作成する社員と、敷地内の掘削調査を委託した調査会社との17年2月の会議で、書き換えの方針を決めたと説明した。その意図について「資料を充実させる目的だった」と主張。当時の方針では、資料には掘り出した地層を肉眼で観察した結果を記載することにしていたが、明確に観察できない場合は、地層の薄片を顕微鏡で観察した結果を載せて書き換えることにしたという。
 さらに、書き換えの決定には担当者の上司に当たる幹部は関与しなかったと説明。この幹部が把握したのは、書き換えの方針が決まった約2年半後の19年8〜10月ごろだった。この幹部は「書き換えは、新たな情報に基づく評価の更新であり、技術的に問題ない」と考え、改めるよう指示しなかったという。
 その上、社内の打ち合わせでは「(地質データに関して)ほとんど議論されることはなかった」と話した。審査資料の作成時に社内のチェック態勢も十分に機能していなかったという。
 これに対し、規制委側は「担当者の数が適正だったかなど分析が必要だ」と指摘した。日本原電は今後、書き換えに至った原因や背景について調査を続け、報告書を規制委に提出する。
 敦賀原発は2号機の直下に活断層の存在が指摘されており、安全審査の焦点になっている。【塚本恒】
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