[2017_07_06_02]原子力機構被ばく事故1カ月 核物質4500点を不適切管理(東京新聞2017年7月6日)
 
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原子力機構被ばく事故1カ月 核物質4500点を不適切管理

 日本原子力研究開発機構が長期間、核物質の容器4500個超を不適切に管理していたことが、原子力規制庁への取材で分かった。機構の被ばく事故は6日で発生から1カ月。こうしたいいかげんな管理体制が事故の背景となった。高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉作業も担うことになっている機構。信頼される組織となる道は遠い。
 「子どもが使ったおもちゃを出しっぱなしにしているのと同じ。原子力の専門家集団としてほかの事業者の模範となるべきなのに、極めてずさんだ」。規制庁の担当者は機構を批判する。
 核物質を入れた容器は本来、放射線対策や臨界防止対策が整った、建屋内の専用の貯蔵場所で保管する必要がある。しかし機構は、事故のあった「大洗研究開発センター」(茨城県)など四カ所で「長いもので三十五年以上」(規制庁)も貯蔵場所の外に放置していたという。
 ずさんな管理が行われていたのは、同センターと核燃料サイクル工学研究所(茨城県)、原子力科学研究所(同)、人形峠環境技術センター(岡山県)。不適切管理の核物質容器は計四千五百七十一個に及んだ。
 規制庁による昨年十二月までの保安検査で指摘を受け、改善対策が大洗の施設でスタート。対策を進めていた今年六月、今回の事故が起きた。規制庁の立ち入り検査で、被ばくした作業員の体表面を洗い流す除染シャワーが故障、除染に時間がかかった可能性も出ている。
 機構は今後、数十年かかるとみられているもんじゅの廃炉作業も担う予定。原子力資料情報室の伴(ばん)英幸共同代表は「安全に廃炉作業を行えるとはとても言えない組織。極めて不安だ」と指摘した。

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