[2023_10_13_07]“禁句”の「乾式貯蔵施設」関西電力が福井県に突如提示、真意は 使用済み核燃料の「搬出準備」、貯蔵容量の制限前提(福井新聞2023年10月13日)
 
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“禁句”の「乾式貯蔵施設」関西電力が福井県に突如提示、真意は 使用済み核燃料の「搬出準備」、貯蔵容量の制限前提

 午後5時00分
 関西電力が10月10日に突如示した原発敷地内で使用済み核燃料を一時保管する「乾式貯蔵施設」の福井県内への設置検討。「福井県の原子力政策の大きな変換点になる」と、県議からは驚きの声が上がった。県は四半世紀にわたり中間貯蔵施設の県外立地を求めており、原発敷地内の貯蔵容量を増やす乾式貯蔵は関電にとって“禁句”だった。貯蔵プールの満杯が迫る中、関電は全体の貯蔵容量を原則増やさないことを前提に、乾式貯蔵を検討すると強調。貯蔵容量を増やす本来の目的ではなく、県外搬出への準備施設として提示した。

 ■「ずっと保管しない」

 「(県外の)中間貯蔵施設に早期に円滑に搬出できるようにする施設。ずっと保管するための施設ではない」。関電の水田仁副社長は10日の県会全員協議会で、乾式貯蔵施設についてこう説明。さらに乾式貯蔵施設への移送で空いた原発内の貯蔵プールのスペースは原則使わないと強調した。
 関電によると、貯蔵プールから中間貯蔵施設に運ぶ場合、使用済み核燃料を「キャスク」と呼ばれる金属容器に移し替えて輸送する作業が必要で、定期検査などの状況によっては作業が妨げられる可能性がある。あらかじめ乾式貯蔵施設まで移送しておけば、搬出が容易になるという。

 ■立地地域に求める声も

 使用済み核燃料の県外搬出は、栗田幸雄知事時代から四半世紀続く政策だ。原発敷地内の乾式貯蔵を認めれば、それが中間貯蔵の意味合いを持ち、大きな政策転換となる。

 乾式貯蔵 使用済み核燃料を貯蔵する方法の一つ。「キャスク」と呼ばれる金属製容器に収納して保管し、空気の自然対流によって冷却する。電気事業連合会のまとめによると、乾式貯蔵施設は日本原電東海第2原発に設置されているほか、九州電力玄海原発、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発で計画されている。原発の貯蔵プールで電気を使って水を循環させて冷却するのは「湿式貯蔵」と呼ばれる。
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