[2023_09_06_04]東海第2原発 拡散想定 再試算を依頼 茨城県が原電に「住民説明にデータ不足」(東京新聞2023年9月6日)
 
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東海第2原発 拡散想定 再試算を依頼 茨城県が原電に「住民説明にデータ不足」

 2023年9月6日 07時23分
 日本原子力発電東海第2原発原発(茨城県東海村)で事故が起き放射性物質が放出された場合の拡散シミュレーションについて、県は原電に再試算を依頼することを決めた。既に提出されている結果とは異なる条件を追加するほか、別の計算コードを使って結果の妥当性を検証することも求める。住民に結果を説明するにはデータ不足との判断で、近く文書で正式に要請する。
 シミュレーションは、原発から30キロ圏内の自治体に作成義務がある広域避難計画の実効性を検証する目的で県が原電に要請し、原電が昨年12月に提出した。
 県によると、当初の試算では、格納容器内のガスを排出し破損を防ぐフィルター付ベント装置などが有効に機能した場合と、常設の非常用電源や冷却設備などが一斉に機能喪失した場合の2通りを実施。それぞれの場合で11の気象条件を設定し、測定地点ごとの空間放射線量率を出した。
 再試算ではこれとは別の事故想定や、当初の想定では考慮していなかった、空気の上下方向への動きやすさを示す「大気安定度」を反映させることなどを求める。
 当初の結果は県が検証を依頼した民間の第三者機関に「おおむね妥当」と評価されたが、30キロ圏内15市町村による「東海第2原発原発安全対策首長会議」の8月の会合では「現状では住民への説明が難しい」との意見が多く、座長の高橋靖水戸市長は報道陣の取材に「より具体的なデータがほしい」と述べていた。
 県はこうした意見を踏まえ、再試算の依頼を決めた。各市町村の理解を得られ次第、結果を公表する方針に変わりはない。
 大井川和彦知事は再稼働の是非を判断する前提条件の一つに、「実効性のある避難計画の策定」を挙げている。シミュレーションについては4月の会見で「なるべく速やかに公表したい」と述べた。(長崎高大)
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