[2023_07_15_03]東海第二 防潮堤3分の2完成 茨城の6市村長懇談会 事故対策工事を視察(東京新聞2023年7月15日)
 
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東海第二 防潮堤3分の2完成 茨城の6市村長懇談会 事故対策工事を視察

 日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)の再稼働に際し事前同意が求められる立地・周辺六市村長でつくる「原子力所在地域首長懇談会」が十四日、原発構内で、再稼働に向けた事故対策工事の進捗(しんちょく)状況を視察した。最大で高さ一七・一メートルの津波を想定した防潮堤は、全体の三分の二が完成していた。(竹島勇)
 六市村は水戸、ひたちなか、日立、那珂、常陸太田の各市と東海村で、首長懇としての視察は昨年五月以来、三度目。先崎(まっさき)光那珂市長は欠席した。防潮堤のほか、重大事故の際に対策本部が設置される緊急時対策所建屋が、同行の報道陣にも公開された。
 原電は、これらの事故対策工事を来年九月に終える計画だ。
 防潮堤は全長約一・七キロ。海に面した東側区間は標高二十メートルに達する。壁は鉄筋コンクリート製で、骨組みとなる鋼管杭(くい)が十四日現在、地上部で四百九十六本、地下部分で五百八十七本、敷設されている。
 首長たちからは、潮風などによる劣化や、資材を積んだ車両を通す際に使う開口部の仕組みなどについて質問が出た。
 原子炉建屋から西に約三百二十メートル離れた標高二十メートルの高台には、四階建ての緊急時対策所建屋の骨格がほぼ組み上がっていた。事故時には対策本部が置かれ、収束作業の拠点となる。周囲には電源車やポンプ車なども配備される。
 原電の担当者は「対策本部は百十一人で構成され、一週間はここで作業ができるように資材と食料を備蓄する」と説明した。
 懇談会座長の山田修東海村長は、視察後の記者会見で「安全(対策)については一定程度理解した」と述べた。
 視察に先立って構内のPR施設で事前説明があり、原電の坂佐井(さかさい)豊東海事業本部長は、構内で火災や作業中の事故が相次いでいることについて「皆さまに心配をおかけしていることを残念に思っている。安全第一で進めていきたい」と話した。山田村長は記者会見で「引き続き注意してほしい」と求めた。

 ◆原電と協議開始 山田・東海村長「今は時期でない」

 山田修東海村長は記者会見で、東海第二原発の再稼働に関する6市村と日本原子力発電との協議事項について、「安全対策」「防災対策」「住民への理解促進活動」の3点で原電と合意したと明らかにした。ただ、協議を始める時期については「6市村側から開催を求める時期も来るだろうが、今はその時期ではない」と述べるにとどめた。
 協議事項を巡っては、5月に6市村長でつくる原子力所在地域首長懇談会から原電に素案を伝え、6月28日に原電から「異論ありません」と文書で回答があったという。
 来年9月に完了予定の事故対策工事のスケジュールと、原電との協議時期の関係を問われた山田村長は、「事業者に振り回されたくはない」と答えつつ、「原電のスケジュールがいろいろなものが動くきっかけになる」とも語った。
 原電の坂佐井(さかさい)豊東海事業本部長は報道陣の取材に「工事は来年の9月に終了する」とだけ述べ、6市村との協議時期には言及しなかった。(竹島勇)
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