[2022_06_04_02]放射性物質拡散を予測 東海第2 原電、茨城県に年内提出(茨城新聞2022年6月4日)
 
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放射性物質拡散を予測 東海第2 原電、茨城県に年内提出

 日本原子力発電(原電)は3日、過酷事故が東海第2原発(茨城県東海村白方)で発生した場合の放射性物質の拡散シミュレーションを、年内に茨城県へ提出する方針を示した。原電は同日、国の新規制基準に基づく同原発の安全対策工事現場を報道陣に公開した。その後の質疑応答で、原電東海事業本部の高島正盛地域共生部長が答えた。
 県は、同原発周辺の14市町村に策定が義務付けられた広域避難計画の実効性の検証に必要として、過酷事故時の放射性物質の拡散予測の提出を求めていた。
 原電によると、提出されるシミュレーションは2〜3年前の気象データ1年分を分析し、拡散計算ソフトを使って作成する。原子炉冷却機能の喪失や非常用電源が使えないなど、さまざまな状況を想定する。
 その上で風向や風速、雨など、その時の天候で、どの方角にどのくらい放射性物質が放出されるかを予測する。想定される最悪の事態での放射性物質の放出量や飛散する距離、住民避難が必要とされる範囲などを県に示すとしている。
 県は、提出される放射性物質の拡散予測から、避難に必要とされる車両や資機材の数量などを割り出し、各自治体の避難計画の検証に生かす方針だ。原電の方針を受け、県原子力安全対策課は「提出後にまず内容を精査したい」と話した。
 広域避難計画は、東京電力福島第1原発事故後、過酷事故に備えて原発から半径30キロ圏内の自治体に策定が義務付けられている。東海第2原発の周辺14市町村では、現在までに5市町が策定済みで、9市町村は未策定となっている。
 原電が安全対策工事を公開したのは、2020年12月以来の約1年半ぶり。津波対策の防潮堤整備をはじめ、原子炉の冷却に必要な電源の喪失に備える「常設代替高圧電源装置」、緊急時に原子炉や格納容器などを冷やす水をためる「代替淡水貯槽」など、現場6カ所を公開した。
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