[2021_06_04_02]原発内貯蔵の使用済み核燃料への税率引き上げ方針 福井県の「核燃料税」、県外搬出促す狙い(福井新聞2021年6月4日)
 
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原発内貯蔵の使用済み核燃料への税率引き上げ方針 福井県の「核燃料税」、県外搬出促す狙い

 原発に装荷する核燃料の価格などを課税基準とする核燃料税について、福井県が税率を引き上げる方針を固めたことが分かった。原発内での貯蔵が5年を超える使用済み核燃料に課税する「搬出促進割」を重量1キロ当たり年千円から1500円に引き上げ、原子炉の熱出力に応じて徴収する「出力割」は現行の8・5%相当から9・5%相当に上げる。搬出促進割は原発のプールにたまり続けている使用済み核燃料の県外搬出を促すのが目的。
 6月15日に開会する6月定例県会に税率を見直す条例案を提出する。可決されれば総務相と協議し、同意を得て11月10日に施行する。
 関西電力の美浜、大飯、高浜原発サイト内の燃料プールは逼迫(ひっぱく)しており、新規制基準に合格した7基がフル稼働すれば5〜9年で満杯になる。関電が今年2月、2020年ごろとしていた中間貯蔵施設の県外立地地点の確定時期を23年末までに先送りした問題もあり、県外搬出に向けた努力をより促したい考え。
 出力割は熱出力千キロワット当たり年18万3千円を20万4800円に引き上げる。これを税率に換算すると1%の引き上げに相当する。ただし、廃止措置中のプラントは税率が2分の1になる。
 東京電力福島第1原発の事故以降、県内の商業原発は5基が廃炉になり、稼働率も低迷。このため原子炉に装荷する核燃料に課税する「価額割」の税収は減少傾向にあり、停止中でも課税できる出力割を引き上げることで影響を緩和し、安定的な税収を確保する狙いがあるようだ。
 税率の引き上げに伴い、7基すべてが稼働した場合、現行税率で年143億円の税収は154億円にアップする。このうち現在は県に6割、市町に4割を配分している。

 ■核燃料税とは

 原発立地自治体が事業者に課税する法定外普通税。福井県は全国に先駆けて1976年から条例に基づき徴収している。条例は5年ごとに更新。2011年の改定で「出力割」を初めて導入し、原発が停止していても税収を安定的に確保できるようになった。16年度には使用済み核燃料の県外搬出を促す「搬出促進割」を創設した。19年度の収入は111億2900万円で、44年間の累計は2246億7千万円。
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