[2023_09_06_03]川内原発運転延長 年内にも認可の公算 原子力規制委 九電説明に「おおむね妥当」と評価、技術審査ほぼ終了(南日本新聞2023年9月6日)
 
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川内原発運転延長 年内にも認可の公算 原子力規制委 九電説明に「おおむね妥当」と評価、技術審査ほぼ終了

 2023/09/06 07:37
 原子力規制委員会は5日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の40年超運転を審査する会合を開き、同日で技術的な議論をおおむね終えた。九電、規制委とも今後は、延長の可否を最終判断する委員会認可に向けた書類作成に軸足を移す。2022年10月に申請した川内原発より以前の4基はいずれも1年程度で認可されており、年内にも運転延長が認められる可能性がある。
 5日は、昨年11月の初審査以降、計6回の会合で議論してきた九電実施の特別点検や、コンクリート構造物の劣化状況評価の補足項目を確認した。規制委側は、九電の一連の説明を「おおむね妥当」と評価。ただ、「今後新たな論点が生じれば、追加で審査会合を開く」とした。
 技術審査にめどがついた九電は、当初の申請内容に、これまでの審査内容を反映した「補正申請書」の作成に着手する。規制委側はこれを基に「審査書案」をつくり、山中伸介委員長ら5人の委員が出席する規制委の定例会合で最終判断を受ける。
 既に40年を超えて稼働する関西電力美浜原発3号機(福井県)など過去申請の4基で、同様の手続きを経て認可されなかったケースはない。また、運転延長手続きでは、事業者が立地自治体から同意を取り付ける法的な規定はない。九電広報は取材に「地域理解を得るため引き続き、訪問活動などのコミュニケーション活動に努める」と答えた。
 川内原発を巡っては7月、耐震基準を見直す別の審査で、新しく策定した基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を検討。従来と比べ、最大加速度が1.1〜1.4倍大きくなることが分かった。規制委は「運転延長とは別の手続きだ」との立場で、九電も取材に「(基準地震動が固まっていなくても)運転延長の審査は進められると認識している」とした。

 原発の運転期間は現行制度で原則40年。規制委の認可を受ければ最大20年延長できる。今回認められれば、川内1号機は44年7月、同2号機は45年11月まで延長される。申請は全国で5、6基目で、福島第1原発事故後の新規制基準下で再稼働した原発では初めてとなる。



 原発の運転期間 2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、原子炉等規制法の改正で原則40年と規定された。原子力規制委員会の審査に合格すれば、1回に限り最長20年延長できる。岸田政権は原発の長期利用を打ち出し、規制委の審査などで停止した分を延長して60年を超えての運転を可能にする制度変更に必要な原子炉等規制法(炉規法)などの改正案を国会に提出、今年5月に成立した。60年超運転に対応する新たな改正炉規法の全面施行は25年6月からの予定。
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