[2019_11_07_01]進まぬ「最終処分地」選定 高レベル放射性廃棄物搬入開始から24年 NUMO 来月八戸、弘前で説明(東奥日報2019年11月7日)
 
 原発の使用済み核燃料を再処理した後に出る高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分について、資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)による説明会が12月、八戸、弘前の両市で開かれる。一般を対象とした説明会は2017年秋以降、福島を除く全国で110回開催されたが、国民の理解が深まったとは言い難いのが現状だ。六ヶ所村に一時保管されている海外返還のガラス固化体は搬入開始からすでに24年が経過、協定で取り決めた「30〜50年」の期限が迫っている。
 「本県を最終処分地にしない」。県が幾度となく国と交わしてきた「約束」だ。10月18日には三村申吾知事が菅原一秀経済産業相(当時。同月25日に辞任)と面会、処分地選定に向け「一歩進んだ」(三村知事)回答を引き出した。三村知事は、後任の梶山弘志経産相との面会についても日程調整中であるとし「高レベル放射性廃棄物関連のことを確認する」と6日の定例会見で明言した。
 国は「前面に立って」選定作業を進めるとしているが、候補地の選定は難航している。村議会むつ小川原エネルギー対策特別委員長を務める寺下和光村議は、選定が進まない現状に「非常に懸念を覚える。国の姿勢が見えず、やる気があるのか疑問だ」と憤る。
 村内にある日本原燃の施設には、日本が英国とフランスに再処理を委託した際に発生したガラス固化体1830本が保管されている。県、村、原燃が結んだ安全協定では、管理期間は「受け入れた日から30年間から50年間」とし、終了時点で電力会社に搬出させる−と取り決めている。
 村職員時代、協定の策定に携わった同村の小泉靖博さん(66)は「期限までに処分場が完成しているとは思えない。電力会社は、ガラス固化体の一時保管場所を用意しておくのが現実的な対策ではないか」と述べる。
 処分場の操業前には、安全性や適正などを確認する調査に約20年、施設の建設に約10年を要するとされる。さらに、各段階で知事や市町村長が「反対」した場合は次の段階に進まないこととなっている。「いくら国民理解が進んでも、首長が『ノー』と言えば白紙になる。選挙のことを考えれば、手を挙げる首長がいるとは考えにくい」。小泉さんは、期限の順守はすでに不可能では−とみる。
 国外で最終処分地が決まっているのはフィンランドとスウェーデンのみ。10月中旬には、日本が設置を提唱した国際会議がパリで初開催されるなど、原発を有する国の共通課題でもある最終処分に関し、国際間の協力を進めようとする動きも出てきた。
 NUMOなどによる本県での説明会は18年7月の青森市以来。八戸会場は12月21日にユートリーで、弘前、会場は同22日にヒロロで、いずれも午後1時半から。参加にはNUMOへの事前申し込みが必要。電話(03・6371・4003)またはホームページで受け付けている。(加藤景子)

 最終処分地の選定

 経済産業省は2017年7月、高レベル放射性廃棄物を地層処分する最終処分場について、自然条件や輸送条件を勘案し、候補地となり得る地域を示した「科学的特性マップ」を公表した。処分地の決定前に行う調査は、自治体による受け入れ、または国による申し入れのプロセスを踏むことになっているが、現時点でそうした自治体はない。法律で定められた調査は文献調査など3段階あり、20年ほどかかる見込み。マップ公表前の07年には高知県東洋町が選定調査に応募したが、町長選を経て取り下げた。
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