[2023_06_27_01]関西電力が約束した「使用済み核燃料の県外搬出」の行方は? フランス搬出を「同義」と国追認に福井県は苦言(福井新聞2023年6月27日)
 
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関西電力が約束した「使用済み核燃料の県外搬出」の行方は? フランス搬出を「同義」と国追認に福井県は苦言

 関西電力が高浜原発(福井県高浜町)で保管する使用済み核燃料の一部をフランスに搬出する計画を福井県に示し、中間貯蔵施設の県外計画地点提示と「同義」としていることに関し、経済産業省資源エネルギー庁の小澤典明次長が6月23日、福井県庁を訪れ、関電の主張を追認する国の見解を説明した。櫻本宏副知事は「評価した理由が県民に分かりにくく、具体性に乏しい」と疑問を呈し、関電の原発内にたまる使用済み核燃料の全体的な搬出の確実な実行など、4項目について再度回答するよう求めた。県議会からも「説明に納得できない」などの批判が相次ぎ、県、県議会ともに現時点では関電の主張を受け入れられない姿勢を示した。
 フランスへの搬出計画は、電気事業連合会が使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を再処理する実証研究の一環。高浜原発の使用済み核燃料を含む200トンを2020年代後半に搬出し再処理する計画だが、関電が県内の原発内で保管する5%程度にとどまる。
 櫻本副知事は、西村康稔経産相が関電の主張を評価する理由を問うとともに、30年ごろに2千トン規模の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を操業開始すると約束していた関電の計画と比較しても搬出量が少ないと指摘。「(実証研究は)搬出が継続的に行われるものでもなく、県民からは根本的な問題解決になっておらず、先送りではないかとの批判がある」と苦言を呈した。
 これに対し小澤次長は「使用済み燃料が県外に搬出され、行き先が明確になることが福井県にとって本質的に重要と考えている。5%程度ではあるが、県外搬出という意味で中間貯蔵と同等の意義があり、計画地点の確定は果たされたと評価できる」と説明した。
 櫻本副知事は「そのように評価された理由は、県民には分かりにくい」と指摘し、改めて説明するよう要求。2千トン規模の中間貯蔵施設についても「計画の確実な実行を担保、約束していただく必要がある」と求めた。さらに、原発内に使用済み燃料がたまる根本原因となっている青森県六ケ所村の再処理工場の完成遅れについて、政府全体の問題として早期完成に取り組むとともに、予定通り稼働しない場合の対応策を提示するよう求めた。
 小澤次長は、再処理工場の円滑な稼働や中間貯蔵施設の地点の検討、実証研究でのさらなる搬出量の積み増しなど「あらゆる可能性を組み合わせ、必要な搬出量とのギャップを埋められるよう最大限対応する」と強調した。
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