[2024_11_07_04]知事「20年来の活動結実」 反核派「搬出先の保証ない」 むつ中間貯蔵操業(東奥日報2024年11月7日)
 
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知事「20年来の活動結実」 反核派「搬出先の保証ない」 むつ中間貯蔵操業

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 むつ市の誘致表明から21年を経て、使用済み核燃料中間貯蔵施設が6日操業した。前市長の宮下宗一郎知事は「20年来の取り組みが結実」、山本知也市長は「大変意義深い」と感慨を込めた。一方で反核燃団体は、最長50年の貯蔵後に確実に搬出される保証がないと指摘し「不安を解消できていない」と批判した。
 市は2000年に立地可能性調査を東京電力に依頼し、05年には東電、日本原子力発電と立地協定を締結。中間貯蔵事業の開始に向けて協力姿勢を取ってきた。山本市長は書面で「先人たちの思いをつないで事業開始に至ったことは、市政にとって大変意義深い。事業者は地域の信頼を得て安全確保を最優先に進め、市政発展にともに取り組んでほしい」とコメントした。
 むつ商工会議所の内田大輔会頭は「事業開始を喜んでいる」とした上で、「地域の理解を求める事業者の濃密な取り組みが東日本大震災以降は薄くなり、結果的に地域経済にも影を落としている。これまで以上に地域とともに事業を進めてもらいたい」と述べた。
 事業者の高橋泰成・リサイクル燃料貯蔵(RFS)社長は「安全最優先で取り組み、透明性を高め、地域に根ざした事業運営に努める」とのコメントを出した。
 RFSは3千トンの使用済み核燃料を一時保管する計画だが、現時点で3年分、計96トンの搬入計画しか公表していない。宮下知事は仙台市内で取材に応じ、「年間200トンから300トン入ってくるのが元々の目標」と指摘。「適切かつ早期にしっかりと見通しを立ててほしい」と注文した。7日に山本市長と一緒に同施設を視察し、現状を確認する予定という。
 市民団体「核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団」代表の浅右紘爾弁護士は「搬出期限が守られるのか、再処理工場へ本当に搬出可能なのかの保証がなければ、地元の人たちの不安解消にはつながらない」と強調。事業開始の背景には、東電柏崎刈羽原発(新潟県)で逼迫する使用済み核燃料の問題がある−として、「疑問に答えず操業を急ぐのは、早く再稼働したいからという、政治的な決定なのではないか」と疑問を呈した。  (本紙取材班)
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