[2024_11_15_05]高浜原発1号機、国内初の運転50年超 使用済み核燃料の福井県外搬出など課題(福井新聞2024年11月15日)
 
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高浜原発1号機、国内初の運転50年超 使用済み核燃料の福井県外搬出など課題

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 国内で稼働する原発の中で最も古い関西電力高浜原発1号機(加圧水型軽水炉、出力82・6万キロワット)=福井県高浜町=は11月14日、国内で初めて運転開始から50年を超えた。来年6月には運転延長に関する国の新制度が始まり、今後60年超運転を判断する初事例となる可能性がある。ただ、長期運転に対しては重要設備の経年劣化など安全性への懸念や、原発内にたまり続ける使用済み核燃料の福井県外搬出などの問題が重くのしかかっている。
 高浜1号機は1974年11月14日、国内の商業用原発で8番目に営業運転を開始した。東京電力福島第1原発事故後に運転期間が「原則40年、最長60年」と定められた現行制度の下、2016年に40年超運転の審査に国内で初めて合格し、60年までの運転延長が認められた。昨年7月に12年7カ月ぶりに再稼働した。高浜1号機よりも古い美浜1、2号機など7基は廃炉となっている。

 ⇒ 安全性の確保は大丈夫か

 関電は高浜1号機の運転50年以降の10年間の管理方針で、原子炉容器内にある炉内構造物を取り換えるなどの安全対策を行う計画。原子力規制委員会は10月、この管理方針を反映した関電の保安規定の変更を認可した。ただ、来年6月に60年超運転を可能とする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が全面施行され、新たな規制制度も同時にスタートするため、改めて50年超運転の認可を得る必要がある。

 ⇒ 高浜原発1号機の50年超運転を申請

 長期運転に向け課題となっているのが、原発内にたまる使用済み核燃料の搬出だ。最終的な受け入れ先となる青森県六ケ所村の再処理工場は完成目標の延期を繰り返し、高浜原発の燃料プールの貯蔵率は10月末時点で約87%と逼迫(ひっぱく)。搬出できなければ残り約3年で満杯となり、1号機などの運転を停止せざるを得なくなる可能性もある。
 関電は30年ごろに県外で中間貯蔵施設の操業を開始し、搬出すると県に約束しているが、計画地点すら提示できていない。中国電力と共同で山口県上関町に建設する計画はあるものの、建設可能かどうかを調べる調査が続いており、実現は見通せない。
 関電が昨年10月に福井県に提示した使用済み核燃料の県外搬出のロードマップ(工程表)は再処理工場の完成延期で見直しを迫られ、森望社長は9月、本年度末までに実効性のある新たな工程表を示すとした。「(示せない場合は)高浜1号機など(40年超運転の)3基の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨む」としている。
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