[2013_02_01_01]原発新基準 再稼働時 不透明に 早期の審査申請 限定的 対策費用は「未定」 東北電 東通原発(東奥日報2013年2月1日)
 
 31日に骨子が出そろった原発の新安全基準は、意見公募を経て7月に施行される。しかし原子力規制委員会による安全審査にかかる時間がはっきりしない上、地元自治体の同意も必要で、原発再稼働の時期は見通せない。新基準を満たすハードルも高く、施行後速やかに申請できる原発は極めて限られそうだ。
 電力会社は施行後、再稼働に向けた安全審査を申請。規制委は新基準を満たすかを審査する。
 審査期間に関し規制委の田中俊一委員長は「早くても1基の申請に半年とか1年かかる」と指摘。一方、骨子作成に深く関わった更田豊志委員は「申請の出来によるが、1年かけるとは考えていない」とし、旧組織の原子力安全・保安院と原子力安全委員会が行った審査より効率的に進むとの見方を示した。
 新基準を満たすには原子炉建屋にフィルター付きベントの設置なども必要で、電力会社が申請に至ることも容易ではない。更田氏は施行後すぐの申請が「ゼロということもなくはない」としている。
 安倍政権は規制委が安全と判断した原発を「政府の責任において再稼働する」(茂木敏充経済産業相)とし、規制委の審査後、地元自治体の同意を得た上で再稼働を決断するとみられる。ただ原発周辺には難色を示す自治体もあり、調整が難航する可能性がある。

 対策費用は「未定」 東北電 東通原発

 原子力規制委員会が31日にまとめた原発の新安全基準骨子について、東通村の東通原発を運営する東北電力の担当者は、同日の本紙取材に「新基準に確実に対応し、さらなる安全性向上に取り組む」と説明。新基準に適合するための対策にかかる費用は「未定」とした。
 同社では、新基準に盛られた項目のうち、免震機能を備えた緊急時対策所は2016年度をめどに設置。原子炉格納容器の圧力を下げるための「フィルター付きベント」も時期は未定だが、設置する方向だ。第2制御室については未定とした。
 海輪誠社長は29日の定例会見で、新安全基準の内容でハードルが高いものを問われ、第2制御室などは影響が大きいかと考えている」と述べ、対策費用も「まったくの白紙。これからの検討になる」と話した。
 大間町に大間原発を建設中の電源開発(Jパワー)も同様に、フィルター付きベントや緊急時対策所を設置する予定。第2制御室については「検討する」(同社担当者)とした。(本紙取材班)
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