[2022_12_21_06]運転が40年超える美浜原発に司法がお墨付き 事故リスク増大、安全確保できるのか(東京新聞2022年12月21日)
 
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運転が40年超える美浜原発に司法がお墨付き 事故リスク増大、安全確保できるのか

 大阪地裁は20日、関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の運転停止を求めた仮処分で、住民側の申し立てを却下し、差し止めを認めなかった。
 「原則40年」を超える老朽原発の運転に、司法が初めてお墨付きを与えた。原発活用に向けて「60年超運転」へのルール見直しを進める政府にとっては追い風となる。だが、設計時に耐用年数40年と想定された原発の長期運転は、事故リスク増大という懸念が常に付きまとう。
 東京電力福島第一原発事故を受け、政府は2012年6月に法改正し、原発の運転期間を「原則40年、最長60年」と制限した。当時の民主党政権は1回限りの運転延長を「例外中の例外」としたが、自民党政権はなし崩しにした。

 ◆東海第二原発など認可済み

 運転延長は、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)など4基で既に認可済み。30年までに、全国33基のうち15基が運転開始から40年を超える。
 政府は週内にも、運転期間から原子力規制委員会の審査や司法判断で停止した期間を除いて事実上「60年超」運転ができるようにルールを見直す方針を決める。既存原発を全て運転延長させようとする重大な政策転換だ。

 ◆運転延長工事改修に膨大な費用と時間

 電力会社にとって、運転延長は改修工事に膨大な費用と時間がかかる。部品が1000万点に上るため、点検漏れにより40年を待たずに設備の劣化でトラブルも相次ぐ。関西電力美浜3号機(福井県)では04年、一度も点検されなかった配管が劣化で損傷し、噴き出した熱水と蒸気で5人が死亡、6人が重傷を負った。
 業績が落ち込む電力各社が、手を抜かずに安全を確保できるのか。長期運転はいばらの道でもある。(小川慎一)
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