[2023_07_03_03]東京電力に原発の運転資格なし、運転禁止命令の継続は当然だ 花角新潟県知事は県の検証総括委員会を直ちに再開する義務がある 菅井益郎(柏崎巻原発に反対する在京者の会)(たんぽぽ2023年7月3日)
 
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東京電力に原発の運転資格なし、運転禁止命令の継続は当然だ 花角新潟県知事は県の検証総括委員会を直ちに再開する義務がある 菅井益郎(柏崎巻原発に反対する在京者の会)

 
◎ 東京電力に原発の運転を任せられるか?
 前号で小木曽さんがすでに報告しているように、原発の再稼働を認める方針だった県議会多数派の与党県議たちも過半が柏崎刈羽原発をこのまま再稼働させる訳にはいかないという。
 選挙前のアンケートだったからでもあるが、与党議員から見ても東電の再稼働の条件が整ったとは言えない状況が続いているし、花角知事も安直に再稼働とは言えない。

◎ 昨年発足した岸田政権は、原発縮小路線から、原発再稼働、新増設まで踏み込み、原発政策の大転換を行なったが、地元新潟県民は到底受け容れられない。
 もともと花角知事は一期目の選挙で「脱原発社会をめざす」と公約を掲げて知事になり、県民に信を問うと言ってきたのである。
 花角知事は、泉田知事が設置した技術委員会、米山知事が設置した生活と健康及び避難の2つの委員会の報告、これら3つの報告書を最終的にまとめる有識者による検証総括委員会の評価報告を基に判断すると、くり返し言ってきたのである。

◎ しかし花角知事は、3月に任期が切れた池内了名古屋大名誉教授以下すべての検証総括委員を再任せず、総括委員会を事実上解散し、代わって県の担当部局で総括すると宣言した。これは明らかな公約違反である。
 池内委員長は花角知事を厳しく批判し、委員長自ら県民と直接対話を重ねながら独自の検証報告書を作成し、県民の判断の資料にするとして、すでに2回の対話集会を行った。最初の対話集会は5月7日に柏崎市で行われ180人あまりが集り、私も議論に参加した。

 池内さんの論理はきわめて明解で、提出された3つの報告書、とくに技術委員会の報告書は両論併記という中途半端なもので、やむをえず両論併記にする場合でも、最後までシュミレーションしてそれぞれの結果を導き出し、対策の是非まで具体的に書き込む必要があるとしている。
 生活と健康および避難の委員会の報告も、問題点の整理や指摘にとどめずに、その対策を最後まで検証しておく必要があるし、県の原子力安全対策課は具体策を誰にもわかるように提示し、県民の疑問に応えなければならないと強調した。池内さんの2度目の対話集会は6月3日に新潟市で行われた。
 花角知事は池内了氏ほか全委員を再任し、検証総括委員会を直ちに再開する義務がある。

◎ こうした中でも東電の不祥事は相変わらず続いている。IDの不正使用問題で運転禁止命令が出たのは2021年4月であるが、その後もIDの不正使用や最近では大事なデータの無断持ち帰り、紛失事件まで発生した。規制委員会はテロ対策などがなお不備であるとして、5月17日運転禁止命令を継続する方針を出した。
 一方東電は、柏崎刈羽原発の再稼働を前提にして電気料金の値上げを申請したが、コストの過大見積りがあると指摘され、燃料費の低下を組込んで再申請し、6月から他の電力会社と同様に家庭用電気料金の大幅値上げが一斉に認可された。

◎ ところで5月31日、岸田政権は詳細を決めぬまま60年超運転を可能にする原子力基本法や電気事業法などの改悪を含むGX脱炭素法を強行採決したが、法律をいじくっただけで原発の電気が増産できるわけがない。
 汚染水の海洋投棄や汚染土壌の再利用、高レベル廃棄物の最終処分場も見通しがない中での暴挙である。

◎ 地元紙やTVの報道によると、磯田長岡市長は5月31日、柏崎刈羽原発の運転については不祥事が続く東電ではない別の組織にさせるよう国に要請すると述べたという。
 この長岡市長の発言を受けてか、桜井柏崎市長も6月1日、東電は信頼できないので、東電以外の事業者に任せたらどうかと発言している。
 両市長が連絡を取り合って発言したのかどうかは不明だが、私は柏崎市長の発言は一種の牽制球で、少しでも早く再稼働して交付金を受けたいという柏崎市長の本音を垣間見るように思う。
 柏崎市長よ、交付金の増額と引き換えに市民の安全を蔑ろにしてはならない、と強く言いたい。

 (6/20発行「ノーニュークス・アジアフォーラム通信」182号より了承を得て転載)
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