[2023_03_20_02]プルサーマル2基中断へ 玄海と伊方、高浜は継続 再処理工場の稼働抑制も(東奥日報2023年3月20日)
 
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プルサーマル2基中断へ 玄海と伊方、高浜は継続 再処理工場の稼働抑制も

 通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電を実施している4基のうち、九州電力玄海3号機(佐賀県)が今年11月、四国電力伊方3号機(愛媛県)が来年7月までの運転で、海外に加工を委託したMOX燃料を使い切り、プルサーマルを中断する見通しとなったことが19日、電力各社の運転計画で分かった。関西電力高浜3、4号機(福井県)は当面、継続できるとしている。
 日本の原子力利用は、使用済み核燃料を全て再処理する「核燃料サイクル」が前提だが、国内の関連施設は稼働の先送りが続き、MOX燃料の加工は海外に依存する。
 今後3年間の見通しとして各社が国に提出した運転計画によると、玄海3号機は11月からの定期検査でMOX燃料4体を、伊方3号機は来年7月からの定期検査で5体を原子炉から取り出し、全て通常のウラン燃料に置き換える。
 電力各社は、使用済み燃料の再処理とMOX燃料への加工を英仏両国に委託してきたが、九電と四電はフランスで保有するプルトニウムを使い切った。英国の加工工場は閉鎖されており、両社は英国で保有するプルトニウムを、他電力がフランスで持つ分と帳簿上で交換し、フランスで加工を続ける方針。玄海での利用は2026年度以降、伊方は28年度以降となる。
 関電は高浜3、4号機で使うMOX燃料32体を20年に追加契約したものの、機器の故障などでフランスの工場での製造が始まっていない。25年度にMOX燃料を炉内に追加する予定で「計画的に製造できるよう調整する」としている。
 11年3月に起きた東京電力福島第1原発事故後に再稼働した原発10基のうち、プルサーマル実施は4基のみ。日本原燃が六ヶ所村に建設中の再処理工場は当初97年、MOX加工工場は12年だった完成予定の延期を繰り返している。

 再処理工場の稼働抑制も
 国の原子力委員会委員長代理を務めた長崎大の鈴木達治郎教授(原子力政策)の話
 プルトニウム保有量が増えるわけではないため、プルサーマル一部中断で国際的な懸念が強まることはないだろう。ただ2基だけだと、保有量のバランスを取るため、2024年度上期完成予定の再処理工場は、ほとんど稼働させられなくなる。原発からの使用済み核燃料の搬出にも影響が出かねない。政府が原発活用に転換するのであれば、核燃料サイクルを含め1年以上かけて議論するベきだった。サイクル見直しに向けたソフトランディング(軟着陸)を検討すベき時期にあり、使用済み燃料の敷地内外での一時保管や、再処理せずに埋める「直接処分」の一部取り入れを考える必要がある。
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