[2018_03_16_03]<東電>東通原発共同建設へ検討会 電力4社に要請(毎日新聞2018年3月16日)
 
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<東電>東通原発共同建設へ検討会 電力4社に要請

 東京電力ホールディングス(HD)は、建設作業が中断している東電東通原発(青森県東通村)を他の電力会社と共同で建設・運営するため、月内の検討会開催を電力4社に呼び掛けている。建設費用の分担など共同事業化へ向けた課題を具体的に協議したい考えだ。国内原発事業再編の足がかりにする狙いもあるが、他電力は福島第1原発事故の廃炉・賠償責任を抱える東電と組むことに抵抗感が強く、協議の行方は見通せない。
 検討会への参加を呼び掛けたのは、東北電力、関西電力、中部電力、原発専業の日本原子力発電(原電)の4社。東北電は隣接地に原発を保有し、中部電と原電は東通原発と同じ沸騰水型(BWR)の原発を持っている。関電は加圧水型(PWR)という異なるタイプの原発だが、先行して再稼働が進んでいることもあり、協力を求めた。
 東電HDは福島第1原発事故の廃炉・賠償費21.5兆円のうち16兆円を負担することになっている。昨年5月に策定した経営再建計画では、この費用を確保するため、将来的な原発事業の統合再編を念頭に、2020年度をめどに東通原発の共同事業体を設立する方針を明記した。
 東通原発1号機(138.5万キロワット)は11年1月に国の新設認可を受け、着工したが、福島原発事故後は建設を中断している。一方、福島原発事故後の規制強化で安全対策コストが膨らんだ結果、電力各社は新たな原発を建設できる見通しが立っていない。そこで東電HDは新たに認可を受ける必要のない東通原発の共同事業を通じ、電力業界として原発建設や運用ノウハウを継承することを提案している。
 しかし、他電力は巨額の廃炉・賠償費用を抱える東電と組めば、一部費用を負担させられるのではと警戒している。関西電力の岩根茂樹社長は16日、東京都内での記者会見で「再編・統合が前提であれば考え方が違う」とクギを刺した。さらに「我々はPWRで原発事業を進めたいし、(原発の立地する)福井県など地元理解があって成り立っている」と述べ、共同事業にはさまざまな課題があるとの認識を示した。【片平知宏】

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