[2014_11_09_01]高齢者施設 避難が課題 管理者の計画策定進まず 県、年度内に指針説明(東奥日報2014年11月9日)
 
 県原子力防災訓練で、福祉施設を対象とした初めての屋内退避訓練を行った。東通村の介護老人保健施設「のはなしょうぶ」では、職員による入所者の所在確認や放射性物質が施設内に入り込むのを防ぐ戸締まり点検などを実施。ただ、同施設でも屋内退避後の避難計画は未整備だ。自力での避難や日常生活が困難な高齢者を抱える施設での広域避難にはいまだに課題が残っている。
 屋内退避は、自力避難が困難な要援護者は一時的に施設内にとどまった方が放射線の影響を軽減できるとする国の方針を踏まえたもの。一方、国や県の防災計画は福祉施設などの管理者に災害時の避難計画づくりを求めているが、東北電力東通原発の緊急防護措置区域(半径30キロ圏)内の計65施設で策定を終えた施設はまだない。
 同施設の気仙裕副施設長は避難計画づくりが進まない理由を「寝たきりの入所者を一度に避難させる福祉車両は村内にはない。入所者をどう運ぶかも想定できない」と指摘。同村の避難先の青森市での避難施設についても、どこにどういう施設があるか分からないーとした上で、「そもそも避難先は広域的に対応しなければならず、施設同士で単独で決めることもできない」と頭を抱える。
 また、同施設にはリハビリの高齢者も通っており、「通所者に関しても屋内退避後に避難する場合、どう対応するかを考えなければならない」という。
 県は年度内に避難計画づくりの指針を示す方針だが、ある村の職員は「指針がない中で施設が避難計画を作ることは雲をつかむような話」と指摘。気仙副施設長は「まずは県が示す指針を待ちたい」と述べた。
     (樋渡慎弥)
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