[2023_02_05_02]原発事故時の第1目的地「避難経由所」 認知まだまだ 地域住民不安も 静岡県原子力防災訓練(静岡新聞2023年2月5日)
 
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原発事故時の第1目的地「避難経由所」 認知まだまだ 地域住民不安も 静岡県原子力防災訓練

 静岡県原子力防災訓練の実動訓練が行われた4日、浜松市西区の渚園では御前崎市の職員らが「避難経由所」の運営方法を確認した。一方、参加した同市の町内会関係者からは「そもそも渚園の存在や場所、避難経由所になっていること自体が住民に知られていないのでは」と相次いで指摘が上がった。避難先自治体の第1目的地で避難所を振り分ける重要な場所が十分に認識されていない課題が浮き彫りになった。
 「自分は町内会の役員になったこともあって分かっていたけど、ほとんどの人は知らないんじゃないかな」。同市佐倉地区の村田弘行さん(66)は、大型バスの座席で困惑気味に話した。
 中部電力浜岡原発(同市佐倉)が単独で重大事故を起こした場合、渚園は佐倉、新野の2地区の避難経由所となる。佐倉地区の藤本一浩さん(57)は「今回の訓練のような経験があればいいが、何もない人は大混乱になるのではないか」と不安げ。新野地区で町内会長を務める倉野豊綱さん(67)は「(2011年に原発事故があった)福島では渋滞で1時間に200メートルしか進めなかったと聞いた。浜岡で事故が起きたら、ここ(渚園)に来るまでどれぐらいかかるのだろう」と神妙な表情を浮かべ、松下正芳さん(70)は「避難ルートも含めて細かく周知する必要がある」と語気を強めた。
 御前崎市は避難経由所が決まってから2021年度に2回、22年度に5回の住民説明会を開いたが、参加者は21年度が約250人、22年度は約100人にとどまった。小野田明人危機管理課長(55)は「まだ発信不足なところはある。23年度も積極的に説明をしていきたい」と話した。
 避難者を受け入れる立場となる浜松市の担当者も同日の訓練を視察した。同市危機管理課の吉垣幸和グループ長(50)は「浜松市民の避難経由所への認知度はまだ低い。理解促進に努めたい」と語った。
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