[2022_05_14_02]浜岡原発の警備、関心高まる 周辺11市町 ウクライナ攻撃受け(静岡新聞2022年5月14日)
 
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浜岡原発の警備、関心高まる 周辺11市町 ウクライナ攻撃受け

 静岡新聞社が中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)から半径31キロ圏内(緊急防護措置区域内)の11市町長を対象に行ったアンケートでは、ロシア軍によるウクライナの原発への軍事攻撃を機に、複数の首長が浜岡原発の警備態勢に関心を高めた実情も浮かんだ。新たな警備態勢を検討する国の動きを注視するとともに、平時のテロ対策や不正入構の防止策の徹底を求める意見も上がった。
 国連常任理事国による国際法違反行為に強い懸念を表したのは、立地市の柳沢重夫御前崎市長。原子力の安全と安全保障の法律を連動させ、日本の原発の安全を守るとした岸田文雄首相の発言を引き合いに、「政府の動向を注視していきたい」と回答した。
 田村典彦吉田町長もロシア軍の原発攻撃に「危機感を覚える」と訴えた。草地博昭磐田市長は警備態勢について「市民の安全・安心を確保するために見直しが必要」との見解を示した。
 国内の原発は2001年の米国同時多発テロを機に、サブマシンガンやライフル銃、防弾仕様の車両などを備えた警察部隊が24時間態勢で警備に当たる。浜岡原発も同様とされ、県警警備課は隊員数など部隊の情報は「防衛上答えられない」とする一方、テロ対策や原発事故を想定して「訓練は常に行っている」と説明した。
 核防護に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長(62)によると、武装集団の襲撃など有事の際は警察の特殊部隊(SAT)も出動する。それでも事態が収束しない場合は自衛隊が派遣される仕組みになっているという。同課によると、これまでに行った自衛隊との合同訓練は2017年2月の1回だけ。板橋氏は「警察と自衛隊の連携態勢を強化する必要がある」と指摘する。
 染谷絹代島田市長は「(東京電力)柏崎刈羽原発での不正入室問題のような事象が起きないよう、事業者としてセキュリティーチェック体制を万全に」と、平時の核防護の徹底を改めて中電に求めた。

 <メモ>岸田文雄首相はロシア軍の原発攻撃を受け、福井県警が既に配備している原発の警備専門部隊を、全国の立地自治体に展開できないか議論する意向を明らかにした。ただ、福井県は廃炉作業中も含め全国最多15基の原発を有する事情があり、同様の態勢を静岡など他県警が導入できるかは不透明。日本の原発の新規制基準は武力攻撃への対応を事業者に求めていないが、公共政策調査会の板橋功研究センター長によると、各国の原発警備は国際原子力機関(IAEA)の勧告に基づいて行われている。「ロシアの原発攻撃を受けてIAEAが勧告を改定する場合は対応を迫られるだろう」と見通した。
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