[2020_01_25_01]小笠原諸島−宮崎に大津波 南海トラフ 71市区町村で3メートル以上 調査委予測 30年以内26%超(東奥日報2020年1月25日)
 政府の地震調査委員会(委員長・平田直東京大教授)は24日、数百年置きと考えられているマグニチュード(M)8〜9級の南海トラフ巨大地震で、東北−九州の沿岸352市区町村のうち、小笠原諸島(東京都小笠原村)から宮崎市までの71市区町村を、高さ3メートル以上の津波が襲う確率が非常に高い「30年以内に26%以上」とする評価結果を公表した。確率を用いて津波の危険性を予測したのは初めて。防潮提などでの対策が難しい、高さ数十メートルといった「最も高い津波」ではなく、限られた予算や時間でも実施できる「起こりやすそうな津波」への対策を住民や自治体に促す狙い。
 史上最大とされる宝永地震(1707年、M8・6)レベルを含む、発生可能性が高いと思われる地震が対象。2012年に政府・中央防災会議が「高知県内で30メートル超」などとしたM9・1の想定最大級地震は除いた。
 平田委員長は記者会見で「最大級への備えが一番良いが、時間もお金もかかる。できることからやってほしい」と強調。調査委は、東北や北海道を撃う津波でも同様の評価を検討している。
 評価は「26%以上(非常に高い)」「6〜26%未満(高い)」「0−6%未満」の3段階。
 木造住宅が全壊し始める高さ3メートル以上で「非常に高い」のは浜松市南区や和歌山市、高知市など71市区町村。震源から近かったり、入り組んだ海岸があったりすると津波が高くなりやすい。このため和歌山県や徳島、高知県で確率が高い傾向となった。
 同様に、住宅被害が急増する高さ5メートル以上の津波で「非常に高い」市区町村は29。地域に壊滅的な被害をもたらしかねない10メートル以上では「非常に高い」市区町村はゼロだが「高い」が21あった。
 高さ20メートル以上を想定する中部電力浜岡原発のある静岡県御前崎市(遠州灘沿岸)は3メートル以上で26%以上、10メートル以上は6%未満だった。津波が高さ10メートルの敷地に及ばないと想定する四国電力伊方原発がある、愛媛県伊方町の伊予灘沿岸はいずれも6%未満だった。
 調査委は、静岡県の駿河湾から九州の日向灘に至るプレート境界の南海トラフを18震源域に分割。約35万通りの地震について発生確率を想定して計算した。
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