[2016_10_16_02]佐対協へ40億円超 中電、浜岡建設で協力金(中日新聞2016年10月16日)
 
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佐対協へ40億円超 中電、浜岡建設で協力金

 中部電力が浜岡原発(御前崎市)1〜4号機を建設した際、地元の同意を得るため、住民組織「佐倉地区対策協議会(佐対協)」に渡した金品の総額は少なくとも四十億円に上ったとする論文を、静岡県近代史研究会員の竹内康人さん(59)=浜松市東区=が今月発行された「静岡県近代史研究第四十一号」に発表した。今年五月に立教大共生社会研究センター=東京都豊島区=で公開された佐対協の資料をもとにまとめた。
 本紙は五月、同センターで公開された「中電協力金集計表(平成)元年8月31日現在調査」と題する資料をもとに、1〜4号機の建設に伴い、総額三十億円以上が佐対協に渡っていたと報じた。内訳として、旧浜岡町経由で受け取った十二億円とは別に、他地区の住民らには秘密で直接受け取った十八億円があったことなどを明らかにした。
 旧浜岡町と中電との関係を研究し、著書「浜岡・反原発の民衆史」などがある竹内さんは、本紙の報道を受けて、同センターで資料の主な部分を延べ一週間かけて読み込んだ。
 論文では、中電協力金集計表に記載がある「カネ」として受け取った協力金の総額に、「モノ」として中電が佐倉地区のために造った体育館や図書館、防災センターなどの建設費計九億円も加算。1号機建設時の地主への協力費なども含めると約四十億円に上ると算出した。
 また、その約四十億円に土地の買収額などを合わせると、六十億円を超えるとも指摘。一方で「5号機建設同意後の中電から佐対協への資金の動きは不明」と今後の課題としている。
 他にも、佐対協の幹部が「佐倉の皆さんには真実を伝えたいが、口をつぐんでいる、町からもらった九億円余りあると言っている」と話したメモも紹介。4号機が着工した一九八九年までに、佐対協が中電から二十六億円ほどの協力金を得ていたにもかかわらず、住民には公表せず、町経由で交付が明らかな額だけを示していたと解説している。
 竹内さんは「他の地区とは違い、佐対協にだけ特別な金を渡した中電を気遣い、真実を隠す不公正なもの」と批判している。
 中電は論文について「共存共栄の観点から、建設に際して協力金を支払うことがある。協力内容については相手方もあり、回答を差し控える」とコメントした。
(小沢慧一)

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