[2021_04_02_02]玄海原発許可取り消し・運転差し止め認めず 佐賀地裁(週刊金曜日2021年4月2日)
 
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玄海原発許可取り消し・運転差し止め認めず 佐賀地裁

 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の設置許可取り消しと運転差し止めを、市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)が国と九電に求めた二つの訴訟の判決で、佐賀地裁(達野ゆき裁判長)は3月12日、いずれも原告の訴えを退けた。原告側は控訴する方針。
 原発の耐震設計をするうえで、想定する地震の揺れの大きさを「基準地震動」という。裁判では、この基準地震動の策定が、妥当かどうかが最大の焦点だった。昨年12月の大阪地裁判決が、基準地震動策定で原子力規制委員会(規制委)の審議と判断の過程に「看過し難い過誤、欠落がある」として、関西電力大飯原発3、4号機の設置許可取り消しを命じていただけに注目を集めていた。
 規制委は、東京電力福島第一原発事故を踏まえて策定した「基準地震動及び耐震設計方針にかかる審査ガイド」(審査ガイド)で、観測データに基づく経験式によって地震規模を設定する場合には「経験式は平均値としての地震規模を与えるものだから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」と規定した。
 大阪地裁判決は、この「ばらつき」を考慮して上乗せをするかどうかが検討されておらず、「設置許可処分は違法」と結論づけた。一方、佐賀地裁判決は、この規定は「『地震動評価』に関するものではなく、その前段階の『検討用地震』に関するもの」と指摘。規制委が「経験式の適用範囲を確認する際の留意点を記載したもの」と主張している点も受け入れ、不合理な点はないとした。
 大阪地裁判決では「ばらつき条項」への判断が18ページにわたるが、佐賀地裁判決ではわずか3ページ。原発事故後に追加された「ばらつき条項」をさほど重視していなかったことをうかがわせる。
(佐藤和雄・「脱原発をめざす首長会議」事務局長、2021年3月19日号)
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