[2020_06_23_03]<新型コロナ>バス、避難所…原発の避難計画、感染症想定なく 放射線防護で換気できず 佐賀県、市町と対応検討へ(佐賀新聞2020年6月23日)
 
参照元
<新型コロナ>バス、避難所…原発の避難計画、感染症想定なく 放射線防護で換気できず 佐賀県、市町と対応検討へ

 九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の重大事故時に備える佐賀県や周辺自治体が、住民の避難について新型コロナウイルス対策との両立を求められている。既存の計画に感染症の想定はなく、バスでの集団避難では、放射線防護の観点から換気ができないなど「3密」が避けられない可能性がある。避難先での備品の準備など具体策は決まっておらず、県は今後、コロナ対策を盛り込んだ避難所の運営指針を基に関係市町と対応を協議する。
 内閣府は2日、新型コロナの感染拡大を踏まえた原子力災害時の防護措置について、文書で考え方を示した。原子力災害時の緊急時対応と感染防止を「可能な限り両立」させるよう求めているが、具体策は示されていない。
 県は、豪雨など自然災害時の避難所の運営に関する新型コロナ対応の指針を策定しており、避難者同士を一定程度離したり、仕切りを設けたりするといった感染防止策を例示している。
 原子力災害時の避難計画では、原発の敷地外に放射性物質が漏れ出す可能性が生じた場合、自家用車での避難が難しい半径5キロ圏内(PAZ)の住民は、県や玄海町、唐津市が用意するバスで避難する。ただ、放射性物質から身を守るため、半径30キロ圏内(UPZ)を抜けるまでは窓を閉め切る必要がある。
 また、UPZ内にある玄海町や唐津市、伊万里市の住民は、原発事故の進展次第では他市町に広域避難することになる。避難先で必要な物資は原則、避難する自治体側が用意することになっているが、既存の計画では感染症を想定していないため、消毒液や間仕切りなどについては、受け入れ自治体との詳細な取り決めをしていない。
 17日の県議会一般質問で山下宗人危機管理・報道局長は、コロナ禍でのバス避難について「車内の3密対策が求められる」と答弁。座席を空けて乗車したり、発熱した人とそれ以外の人を分けたりする対応を例示し、関係市町と協議する考えを示した。県危機管理防災課は「災害はいつ起きるか分からない。できるだけ早く取り組みたい」と話している。
KEY_WORD:コロナウィルス_:GENKAI_: