[2020_01_17_16]東電に処分検討求める 福島第一原発核燃料や廃棄物 規制委(福島民報2020年1月17日)
 
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東電に処分検討求める 福島第一原発核燃料や廃棄物 規制委

 原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は十六日、原子力規制庁で東京電力の小早川智明社長と意見交換し、福島第一原発の廃炉作業と並行して、使用済み核燃料や放射性廃棄物の処分に関する検討に着手するよう求めた。規制委によると、廃炉作業中の原発からの搬出や処分を電力会社トップに促したのは初めて。
 東電は廃炉が決まった福島第二原発の使用済み核燃料の県外搬出を明文化する方針を示している。原子力事故が起きた福島第一原発の溶融核燃料(デブリ)、使用済み核燃料、放射性廃棄物の搬出や処分については、方向性が定まっていない。
 更田委員長はこうした現状を念頭に「福島第一の廃棄物をきれいに片付けて中に置きました、では(廃炉を)やり抜いたことにならない」と指摘。その上で、「福島第一から出せるものを出していかないと、廃炉作業は暗礁に乗り上げる。外に出していく具体的な取り組みを始めてほしい」と踏み込んだ。
 小早川社長は「まずは現場のリスクを低減していくことが重要」との認識を強調した。これに対し、更田委員長は「長期的に取り組まなければならないことと、先送りにすることは全く別」と語気を強め、「福島第一を安定した状態にすることと、廃棄物の行き先を探すことは並行して進められる。(廃棄物の処分は)時間がかかるものだからこそ、今から始めておく必要がある。経営層の仕事だ」と念を押した。
 更田委員長は汚染水から放射性物質を吸着させるために建屋地下に投入された鉱物「ゼオライト」を例に挙げ、福島第一原発から放射性廃棄物として搬出する場合には新たな規制のルールが必要になるとの見解を示し、「今から取り組まないとならない」と述べた。
 福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分を巡る議論は長期化している。更田委員長は「こうしたことが繰り返されるのは良くない。東電自身が(放射性廃棄物の搬出や処分に向け)手を付けてもらいたい」と促した。小早川社長は「今後、検討したい。まずは減容化したい」と述べるにとどまった。
 規制委と東電の意見交換は二〇一八(平成三十)年五月以来。
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