[2023_12_16_03]原発事故費 23兆円に拡大 東電、賠償増 電気代負担長期化も(東奥日報2023年12月16日)
 
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原発事故費 23兆円に拡大 東電、賠償増 電気代負担長期化も

 東京電力福島第1原発事故に伴う賠償や除染などの対応費用が総額で23兆4千億円と、従来想定した21兆5千億円から1兆9干億円上振れすることが15日分かった。原発周辺からの避難者や処理水の海洋放出に伴う風評被害への賠償が膨らむためで、電気料金を通じた家計や企業の負担が長期化する恐れがある。
 政府は上振れ分の内訳として、昨年12月に被災者への賠償基準を見直して対象を拡充したことによる影響が5千億円、住宅賠償の上振れが5千億円、処理水関連の賠償が3千億円、除染物の中間貯蔵で6千億円と想定。賠償支払いが滞らないよう、東電に対する資金援助の枠を現状の13兆5千億円から15兆4千億円へと増額する方針で、必要な措置を2024年度予算案に盛り込む。
 対応費用の上振れは3回目。事故直後の11年に6兆円と見込み、13年に11兆円、16年に21兆5千億円へと引き上げたが、一段と膨らむ見通しとなった。
 これまで21兆5千億円と見込んでいた対応費用は、賠償が7兆9千億円、除染などが5兆6千億円、廃炉が8兆円。廃炉を除く13兆5千億円は、東電からの支払いが滞らないよう、必要に応じて現金化できる交付国債を国が発行し、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて東電を資金援助する形となっている。このうち賠償費用は、東電を含む全国の電力会社による負担金で回収する仕組み。政府は電気料金の値上げにつながらない形を目指すが、負担総額は増えるため回収期間が延びる可能性がある。
 政府による東電への援助額は現時点で13兆円に達する。交付国債の発行枠が不足する見込みとなったため、政府と機構が援助額の増額に向けた議論を今年9月から進めていた。
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