[2023_09_23_01]処理水 政府一体で対策を 笹川平和財団専門部署設置提言(東奥日報2023年9月23日)
 
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処理水 政府一体で対策を 笹川平和財団専門部署設置提言

 公益財団法人「笹川平和財団」は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の風評被害対策を担う専門部署を内閣官房に設けるなど、政府一体の体制構築を求める提言をまとめた。水産業だけでなく、観光業や国内外の企業誘致など、影響は多方面に及ぶと想定。放出を問題なく進めるための長期戦略が必要とした。
 提言は水産業や観光業、産業への影響を、放出トラブルが全くない「最善」がら、トラブル続きで放出が長期停止する「最悪」まで四つのシナリオで想定し、政府が取るベき対策を検討した。最善の場合、国際社会の信頼を獲得し、水産物への懸念が解消され、経済の好循環が生じ経済効果は10年で15兆円超となるが、最悪の場合は信頼を失い海外投資も減少、経済損失は5兆円に達する。
 多核種除去設備(ALPS)で浄化した処理水の放出が内外で反発を招いた現状を「国家としての信頼性に影響を与えかねない問題」と指摘。東電の当事者能力喪失に加え、関係省庁の連携不足などを要因に挙げた。
 提言は内閣官房国家安全保障局に「ALPS処理水放出対策室」を設置し、関係省庁の情報共有や適切な対策の実施を求めた。政府と東電の情報発信が信頼を得られておらず、科学的な「安全」を伝える努力が、心理的な「安心」の提供につながっていないとも指摘。リスクコミュニケーションの専門家の起用や第三者機関による放射性物質監視を提案した。
 笹川平和財団の小林祐喜研究員(原子力利用・核不拡散)は「難しい説明をせず、不利な情報も隠さず公表することが必要。コミュニケーションができていれば風評は起きない」と述べた。
 提言は、全国漁業協同組合連合会(全漁連)からの相談をきっかけに作成。1日、政府へ提出した。
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