[2023_01_31_02]電気は、もう十分に足りており、原発は、ずーと全く必要ない 政府と大手電力会社が石油火力発電を排すのは、原発推進のために、太陽光・風力発電にストップをかけること 今、原発をやめて太陽光と風力発電の本気の普及に舵を切る時(下−1) 荒木福則(神奈川県横浜市在住)(たんぽぽ2023年1月31日)
 
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電気は、もう十分に足りており、原発は、ずーと全く必要ない 政府と大手電力会社が石油火力発電を排すのは、原発推進のために、太陽光・風力発電にストップをかけること 今、原発をやめて太陽光と風力発電の本気の普及に舵を切る時(下−1) 荒木福則(神奈川県横浜市在住)

 
◎ 大手電力会社は、FIT太陽光電気を固定買取価格で買い取る費用と「回避可能費用」との差額の補填金を毎月、算定され交付されます。これを、「再エネ買取交付金」と呼ぶとします。「再エネ買取交付金」の原資が「再エネ賦課金」です。大手電力会社が「再エネ買取交付金」を停止中の原発の維持費に充てていることは本稿の(中)で述べました。 なお、これは、調達価格となる「回避可能費用」と販売価格の「電気料金」の差額のキャッシュフローだけではありません。

◎ 「回避可能費用」の意味は、FIT再エネを買い取ることにより、発電・調達を免れ回避される費用ということです。2012年に固定価格全量買取制度が始まって、「全電源平均か火力か原発か」、「全コストか可変費だけか」、「再エネの供給力計上はどうか」、などの要素を考慮し決められました。
 一極集中発電所において発電する送配電前のコストです。分散して在り、地産地消の太陽光発電も、わざわざ、一旦、電気を一極集中発電所に買い取り集められてから需要家に送配電して返されるようなものです。
 2014年に見直しを経て、2016年の電力全面自由化に合わせ、政府は回避可能費用を、市場価格に連動するようにしました。「市場価格連動」は、再エネ電気が無かった時、その相当分を卸市場から電気を調達しており、再エネ電気が有れば、まず、その卸市場からの調達を止める即ち回避するという考え方です。
 激変緩和措置というのは、2016年以前の2度の固定価格による回避可能費用を市場連動価格にソフトランディングするための措置です。
 賦課金が、止まった原発の電気を補い、ましてや、止まった原発の維持費に充てられていることからして、回避可能費用は原発のコストと考えられなくもありません。

◎ 回避可能費用は低すぎるのではないかという問題が有りました。
 河野太郎氏らも問題視し、2016年に、市場価格連動になりましたが、2度の固定価格よりも更に下がってしまいました。
 この問題は、賦課金は単に電気料金との差し換えだからと、当初から、厳密に検証されない感が有りました。結果的に、2012年に制度が始まって以来2021年まで、ずっと、7、8円ぐらいで推移して来ました。
 そして、ウクライナ紛争が起こり卸市場価格が高騰し、「回避可能費用単価」は2021年の10月から、18円から30円/kwh(30分毎、1日48コマ平均)ぐらいの範囲で推移しています。

◎ 従って、「再エネ買取交付金」は大きく減ります。2018年以降の固定買取価格(2018年度:事業用18円/kwh、住宅用24円/kwh)にあっては、「回避可能費用単価」が「固定買取価格」を逆転し、この電気の買取においては「再エネ買取交付金」はマイナスになり、大手電力会社は「電力広域的運営推進機関」(注1)に「再エネ買取交付金」を返納します。
 「再エネ買取交付金」は翌年度の賦課金の算定基礎になり、この高い回避可能費用が続けば、賦課金は今年度の3.45円/kwhの「再エネ賦課金単価」をピークに、2030年(注2)を待たず、減少に転じます。

◎ 大手電力会社は、停止中の原発を維持する原資を、だんだん貰えなくなり原発を再稼働する他なく、結局、政府と大手電力会社は、「福島第一原発事故後、約10年の間、享受して来た低い回避可能費用を諦め手放し、卸市場価格を吊り上げ、新電力を葬り顧客を奪い返すと同時に値上げし、原発再稼働に向けて踏ん切りをつけよう 」ということです。

 なお、再エネ電気の買取りにおいて「送配電買取り」として送配電事業者が、間に入りますが基本、パススルーで、かつ、大手電力会社の小売と未分離、実質一体なので、上の説明では省きました。
                       (下の2)に続く

(注1)「電力広域的運営推進機関」は、全国の電力需給の調整、 予備率の管理に加え、2022年度からFIT費用負担調整業務も担当(注2)事業用20年、住宅用10年の固定価格による買取期間から、2030 年が賦課金のピークと見られていた
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