[2022_09_06_01]市民団体、関電元副社長らに追加告発状 金品受領問題で地検に提出(毎日新聞2022年9月6日)
 
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市民団体、関電元副社長らに追加告発状 金品受領問題で地検に提出

 関西電力の歴代幹部が福井県高浜町の元助役(死去)から金品を受領した問題に絡み、元助役の関連会社に不当な利益供与を繰り返したとして、市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は6日、豊松秀己元副社長と森中郁雄元副社長、鈴木聡元常務執行役員の3人に対する会社法の特別背任容疑などでの告発状を大阪地検に提出した。地検は受理するかどうか検討する。
 告発状によると、関電は2013年に施行された原発の新規制基準に伴う安全対策工事で発注した土砂の処分などを巡り、元助役の関連会社「吉田開発」(福井県)に便宜を図っていた。元請けのゼネコンが吉田開発に対し、関電との間で契約した単価と同額で土砂処分を発注。吉田開発は別の業者にこれより低い単価で下請けに出し、差額を利益として得ていた。
 関電は22年4月、この土砂処分や別の関連会社との土地貸借を巡り、元助役側との不適切な取引があったとするコンプライアンス委員会の調査報告書を新たに発表していた。
 市民団体は、豊松氏ら3人が元助役らへの利益供与を認識しながら一連の判断に関与し、関電に損害を与えたと主張。代理人を務める河合弘之弁護士はオンラインで記者会見し、「関電が(吉田開発の)中抜きを認める構図を考えた。こんなばかげた取引はない」と憤った。
 関電は「旧経営陣らが告発を受けていることについては重く受け止める」とのコメントを出した。
 関電では19年以降、金品受領や役員報酬の補てん(ほてん)を巡る一連の問題が発覚。今回と同じ市民団体が八木誠前会長(72)ら9人を会社法の特別背任容疑などで刑事告発したが、大阪地検特捜部は21年11月、9人全員を容疑不十分で不起訴処分にした。
 団体が大阪第2検察審査会(検審)に審査を申し立てた結果、検審は7月、八木氏や森詳介元会長(82)、岩根茂樹元社長(69)の3氏を「起訴相当」と議決。特捜部が再捜査を進めているが、今回の事案は含まれていない。【沼田亮、古川幸奈】
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