[2022_02_16_07]東海第二原発の再稼働の是非判断を先送り 議論ほとんど及ばず 那珂市議会安全対策委(東京新聞2022年2月16日)
 
参照元
東海第二原発の再稼働の是非判断を先送り 議論ほとんど及ばず 那珂市議会安全対策委

 那珂市議会の原子力安全対策委員会が十五日開かれ、現委員の任期中の実質的な審議が終了した。同市は日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼働に際し事前同意を求められる立地・周辺六市村の一つ。武藤博光委員長は任期中に再稼働の是非を判断することを目指していたが、次の任期に先送りになった。(保坂千裕)
 この日の委員会では、東海第二の重大事故に備えた広域避難計画策定の進捗(しんちょく)状況や、計画策定に際して問題になっている避難所の一人当たりの面積が議題になった。一方で、再稼働そのものの是非にはほとんど議論が及ばなかった。
 原電は東海第二で今年十二月、防潮堤の建設など新規制基準に基づく事故対策工事を完了する計画。一般的な原発再稼働のスケジュールでは、これに合わせて地元同意を求めることになるが、那珂市議会では態度表明の時期を巡り意見が割れている。
 三十キロ圏の十四市町村には避難計画の策定が義務づけられているが、那珂市や東海村を含む九市町村が未策定のまま。加えて昨年三月の水戸地裁判決は、避難計画の未策定や実効性の欠如を理由に東海第二の運転差し止めを命じた。地元議会が再稼働の是非を判断する環境は整っていない。
 委員会は昨年、地元の商工会や農業者団体、PTA連絡協議会、障がい者団体との懇談の場を設け、再稼働に関する市民の意向把握に努めたが、現段階でできることはそこまで。武藤委員長は「市民もどうしたら良いか分からない人が多い」と悩ましそうに話す。
 那珂市議の任期は二〇二四年三月まで。折り返しの今年三月に常任、特別委員会の構成が入れ替わる。六市村の議会で原子力に特化した常任・特別委員会を設けているのは那珂市と東海村のみ。 (保坂千裕)
KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_: