[2022_01_25_07]「空振による大気圧変化が海面にもたらした波動現象」「火山噴火を事前予測できる」とする 原子力規制委員会は見解を撤回せよ 地球の反対側で起きた巨大カルデラ噴火で津波 (中)(3回の連載) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(上)は1/18【TMM:No4385】に掲載(たんぽぽ2022年1月25日)
 
参照元
「空振による大気圧変化が海面にもたらした波動現象」「火山噴火を事前予測できる」とする 原子力規制委員会は見解を撤回せよ 地球の反対側で起きた巨大カルデラ噴火で津波 (中)(3回の連載) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(上)は1/18【TMM:No4385】に掲載

  
◎海底火山が引き起こす津波

 火山噴火により津波が発生することは良く知られている。
 日本では1792年5月21日に発生した雲仙普賢岳の山体崩壊による津波が最大の被害津波とされている。概要は、噴火が山頂付近ので続いていたが、地震発生により山麓にあった眉山が崩壊、大量の土砂が火砕流と共に有明海に流れ込む。 これにより発生した津波が島原半島と対岸の肥後国天草地方(現在の熊本県)に押し寄せた。最大波高は10mに達したとされる。死者・行方不明者は約15,000人、これまでで国内最大の火山災害だった。「島原大変肥後迷惑」という言葉が伝えられた。

 1741年8月29日には、北海道渡島半島の西約50kmにある渡島大島が噴火し、大規模な山体崩壊が発生した。岩屑なだれにより大津波も発生して、対岸の渡島半島西岸から青森県津軽半島を含む広範囲に押し寄せた。この大津波で1,467人が死亡したと記録されている。

 世界では1883年8月27日に発生したインドネシア、クラカタウ火山の噴火に伴う津波が史上最大の被害を出したとされている。クラカタウ噴火に伴い波高30mの巨大津波が発生、周辺の島々の165村が潰滅し、死者36,417人とされる。その後に引き続く火砕降下物などの災害により、推定12万人が犠牲になったという説もある。

 今回の噴火による津波の発生原因は、このようなケースとは異なると見られる。もちろん、一部には山体崩壊や海底地形の変動による海面変動はあったと思うが、それだけで1万キロ以上も離れたところに1mを超える津波が襲いかかるとは考えにくい。気象庁や多くの地震・津波研究者も未知の津波、あるいは海面変動を引き起こすメカニズムがあったと考えた。
 それが「空振による大気圧変化が海面にもたらした波動現象」である。まとめると、火山による津波や海面変動の発生メカニズムは次の通り。

 1.噴火により火山の山体が不安定になり崩壊、これが海に流れ込んで引き起こされる津波。
 2.海底噴火で噴出したマグマや火山ガスが海面を押し上げ、その波が引き起こす津波。
 3.マグマが噴出した結果、海底にカルデラが形成され、これが陥没して引き起こされる津波。
 4.大規模噴火で立ち上がった噴煙が崩壊し、大規模な火砕流が発生して起きる津波。

 これに加えて、今回の経験から、次のような原因が推定されている。
 5.噴火によって発生した衝撃波が伝わる際に海面に波を励起し、これらが重なりあうことで引き起こされる津波。

 今回のフンガ・トンガ−フンガ・ハアパイ火山の噴火では、トンガの首都ヌクアロファがあるトンガタプ島などでは約15mの津波があったと報告されている。これは噴火の直接的な影響(噴火による海面変動と海底地形の変動)によるものと思われる。
 近いところの津波は、噴火の影響による津波が卓越すると思われるものの、日本やアメリカ大陸など遠くに津波が到達した原因としては、その異常な早さを考えても、衝撃波の伝搬が大きな要素を占めるのだろうと思われる。
 世界の津波情報が詳細に解析されれば、寄与の割合が分かってくるだろう。       (下)に続く
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