[2024_07_23_06]「隠れ活断層」地表から発見、岩盤の滑り跡で推定する新手法開発 岐阜・東濃地科学センター(岐阜新聞2024年7月23日)
 
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「隠れ活断層」地表から発見、岩盤の滑り跡で推定する新手法開発 岐阜・東濃地科学センター

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 東濃地科学センター(岐阜県土岐市)は19日、地形的な変状が地上に現れていない「隠れ活断層」について、地表の岩盤の割れ目に付いた滑り跡を多数集め、跡を付けた力のかかり方を復元することで地下の活断層の存在を推定する新たな調査手法を開発した、と発表した。隠れ活断層は上端部でも地下1キロより深く位置するケースがあり、ボーリングなどの調査にはコストがかかる。調査地域の絞り込みに生かせる技術で、地震防災のハザードマップ作成に役立つ可能性があるという。研究成果は国際学術雑誌「アース アンド スペース サイエンス」に掲載された。
 同センターの西山成哲(なりあき)研究員(32)=地球科学=によると、活断層は繰り返し活動して地震を起こす断層で、日本では2千以上見つかっている。地下に隠れている活断層も多数あるとされるが、ずれなどが地表に露出した活断層のように航空写真や地形図からは判読できず把握が困難だった。
 同センターは、断層周辺の小さな割れ目ができる領域「ダメージゾーン」に注目した。岩盤が割れ目に沿ってずれ動く際に、擦り傷のような滑り跡が付くが、この滑り跡の方向が岩盤にかかった力を記録しているとみて地上に現れた岩盤から多数のデータを集めた。
 地質調査のフィールドに選んだのは御嶽山の麓、長野県王滝村。1984年の長野県西部地震(マグニチュード6・8)の震源域で隠れ活断層の存在が明らかになっており、今回は付近で344個の滑り跡データを収集。コンピューター解析により断層の直上でかかった力が復元でき、ダメージゾーンの分布を推定できた。鹿児島県や鳥取県でも、同様の地質調査を実施している。西山研究員は「ダメージゾーンの広がりは現時点では不明で、さらに広範な調査と解析をしたい」と話した。
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