[2024_05_21_01]エネルギー政策で問題だと感じること(雑感)(まさのあつこ_note2024年5月21日) |
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19:09 前回のノート「 エネルギー基本計画を「国全体の議論の俎上に!」合同会見 」に対して、「経産省の審議会」と「市民団体側」の顔ぶれが固定化している旨のコメントがあった。しかし、経産省の「 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」(以後、経産省審議会) のメンバーの固定化と市民団体の顔ぶれの固定化を同列で語ることは意味がないと思うので、そのことと同時に、エネルギー政策を語る上で最も問題だと感じていることを、この際、共有しておきたい。 経産省審議会は政策決定過程そのもの ・経産省審議会は、エネルギー政策決定の過程で重要な位置を占めている。 ・そこで多様な意見が反映されなければ、今の社会に適正なものにならない。 ・ところが経産省審議会では、化石燃料と原子力発電から利益を得るメンバーが多数を占める。それが常態化して何年も変化がない。 ・特定業界だけが利する政策がそこで決まれば、国民の大半が(将来世代を含めて)影響を受ける。 一方で、 市民団体側は政策決定プロセスの外 ・今回会見を行った市民団体側は、国の気候変動対策や再生可能エネルギーを促進させることをミッションとする人々や団体であり、彼らは、経産省に、政策形成プロセスには、特定業界だけではなく、気候変動対策や再生可能エネルギー促進をミッションとするメンバーも参加させて欲しいと「外から」訴えている。 ・自分たちだけの意見を聞けと言っているのでなく、国民的な議論が必要だ、国民が広く参加できるようにと提言をしている。 国民が知らされていない上面(うわづら)の電力改革 さて、その上で、現在のエネルギー政策が抱えている問題は、2011年東京電力福島第一原発事故後の「 電力システム改革に関する基本方針 」が実行に移されながら、実は、じょじょに複雑化し、知る人ぞ知る制度になってしまっていることではないか。 電気事業法の改正で以下の3段階の「改革」が行われてきたが、それすら、多くの国民が気づかないまま行われてきたのではないか。 第1段階 広域系統運用機関の設置(2015年) 第2段階 電力小売市場の全面自由化(2016年) 第3段階 送配電部門の法的分離(2020年) 今は、さらに、それら「電力の自由化」には逆流し、大手電力会社の既得権を守る「電力不自由化」政策がどんどん導入されている。たとえば、 ・老朽原発の運転期間の延長政策 ・容量市場、長期脱炭素電源オークション=石炭火力発電と原発の温存政策 ・水素・アンモニア混焼や石炭火力CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)への多額の公的補助金=石炭火力発電の温存政策 ・GX経済移行債発行による原子力研究開発支援など。 にもかかわらず、そのこと自体があまりに報道されずに来ている。 国民から乖離した制度がどんどんできている一方で、古い制度は温存もされていることを国民が知らされていない。 例「総括原価方式」が続いているのに「電力自由化」 一例が「総括原価方式」(必要経費を電力料金に上乗せする制度)だ。これは、「電力の自由化」によってもう止めるはずが、未だに「経過措置」のままで実行されていない。つまり、火力発電や原発の必要経費は、電力料金に上乗せができる。一方、再生可能エネルギーはできない。このようなフェアではない制度のままを維持しようと、先日の 経産省審議会 では、総括原価方式の維持が必要である旨の発言をするメンバーまでいた。 他方、「再エネ賦課金のせいで電力料金が高い」などと、再エネ普及のコストだけを批判する発言も巷ではよく耳にする。 国民のほとんどが電力政策を含むエネルギー政策の大海で溺れているか大きな森で迷子になっているかのような状態だと思う。こんな状態でエネルギー基本計画の議論を「固定化」した業界メンバーで始めれば、どうなるのか。 経産省が、今すでに複雑化してしまった難解なエネルギー政策を、国民に十分に知らせないまま議論を始めれば、消費者は、電力を選ぶ自由があると思い込まされたまま、実は政策の失敗のツケだけをあとで払うことになるのではないか。 |
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