[2023_01_01_02]「“卒原発”核融合に転換を」十倉雅和・経団連会長インタビュー(毎日新聞2023年1月1日)
 
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「“卒原発”核融合に転換を」十倉雅和・経団連会長インタビュー

 経団連の十倉雅和会長は毎日新聞などの年頭向けインタビューに応じ、政府が打ち出した次世代原発の建設など新たな原子力政策について「原発はある種のトランジション(移行期)の技術。ゆくゆくは核融合(発電)に行き着かなければ、人類の未来はない」と述べ、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)が大量に出る原発からは将来的に脱却する必要があるとの認識を示した。
 十倉氏は、2022年12月に原発の建て替えなどを認める方針転換を決めた政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」のメンバーを務めている。11年の福島第1原発事故後、岸田文雄政権が初めて次世代原発の建設と建て替えを認める姿勢を明確に打ち出した点については「思い切った決断をした」と評価した。
 一方、「原発は核のごみという廃棄物の問題が常につきまとう」と指摘。特に高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まっていない点を問題視し、「決して(原発の稼働に向けて)いけいけどんどんのきれい事だけの世界ではない」とけん制した。これらの問題に「政府が前面に出て率先して対応すべきだ」と注文を付けた。
 ただ、エネルギーの自給率が低い日本が原発をやめるには、新たな電源の確保が必要になる。十倉氏は「核融合ができれば廃棄物は格段に少なくなる。夢のエネルギーだ」と強調。欧州連合(EU)や日米などが進める国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」の取り組みに期待を寄せた。
 核融合炉は原子炉と比べ安全とされ、二酸化炭素や高レベル放射性廃棄物を排出しないため、世界で研究が進められている。燃料の重水素やトリチウムは海水中などから得られるため、無尽蔵のエネルギーとも呼ばれる。
 原発から脱する時期については「核融合の実現は30年後と言われている。その間は原発で核エネルギーを作らないといけない」と指摘。当面は過渡期の電源として原発稼働の必要性を訴えた。【中津川甫】
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