[2023_01_04_02]福島第一原発「処理水」の海洋放出開始、7月以降か…「放出口」設置などが遅れ(読売新聞2023年1月4日)
 
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福島第一原発「処理水」の海洋放出開始、7月以降か…「放出口」設置などが遅れ

 東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」海洋放出開始が、当初の目標の今年4月頃には間に合わない見通しとなったことがわかった。海底トンネルの先端に付ける放出口の設置などが遅れたためで、東電は放出設備の完成を今年6月末頃と見込む。放出開始は使用前検査後の7月以降になる可能性がある。
 政府は2021年4月の関係閣僚会議で、処理水の放出開始時期を「(21年4月の)2年程度後」とする方針を決定した。これを受けて東電は21年8月、放出設備完成の目標を23年4月頃と決めた。
 計画では、同原発から沖合約1キロ・メートルまで海底トンネルを掘り、先端の放出口から処理水を海に流す。東電は22年8月4日、放出設備の本格工事に着手した。
 しかし、8月中に予定していた放出口の設置は、波が高いなどの気象条件の影響で約3か月遅れ、11月18日にずれ込んだ。現在は放出口周辺をコンクリートで埋める工事を進めている。東電はこの工事に4か月程度かかるとみている。
 海底トンネルは全長約1キロ・メートルのうち約800メートルが完成しており、残り約200メートルはコンクリート工事の終了後に2、3か月かけて掘削する。東電によると、放出設備完成は今年6月末頃になりそうだという。
 経済産業省は「当初の目標通りに放出を開始できるよう工事を進めてほしい」と求めている。東電は「安全最優先で、可能な範囲で工期の短縮を図りたい」としている。
 処理水は11年の炉心溶融(メルトダウン)事故で溶け落ちて固まった核燃料を冷却した後の汚染水を浄化処理し、大部分の放射性物質を取り除いた水。現在、約132万トンが同原発敷地内の1000基以上のタンクに保管されている。
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