[2023_01_18_03]福島第一原発事故の刑事裁判 東電元会長ら旧経営陣3人、二審も無罪 (東京新聞2023年1月18日)
 
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福島第一原発事故の刑事裁判 東電元会長ら旧経営陣3人、二審も無罪

 2011年3月の東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久元会長(82)ら旧経営陣3人の控訴審判決で、東京高裁(細田啓介裁判長)は18日、一審東京地裁判決と同じく3人を無罪とした。検察官役の指定弁護士側の控訴を棄却した。
 被告の3人は勝俣元会長のほか、原発の安全対策の実質的責任者だった武藤栄元副社長(72)と、その直属の上司だった武黒一郎元副社長(76)。起訴状によると、原発の敷地の高さ(海抜10メートル)を上回る津波を予測できたのに対策を怠り、避難を余儀なくされた双葉病院(福島県大熊町)の入院患者ら44人を死亡させるなどしたとされる。
 争点となったのは、巨大津波を予測し、対策を取れば事故を回避できたかどうか。東電内部では08年、最大15.7メートルの津波の到達を予測した試算をまとめ、その根拠となった国の地震予測「長期評価」(02年公表)の信頼性が問われた。
 19年9月の一審判決は、津波による事故を確実に回避するには原発の運転停止しかなかったと指摘。専門家らの見解が分かれていたなどとして長期評価の信頼性を認めず、当時の安全基準を踏まえると、運転停止を義務付けるほどの予測はできなかったと結論づけた。
 事故の刑事責任を巡っては、福島県民らが旧経営陣を告訴、告発。東京地検は3人を不起訴としたが、市民で構成する検察審査会が2度にわたって起訴すべきだと議決し、指定弁護士が16年に強制起訴していた。
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