[2022_04_27_01]柏崎刈羽原発、核物質管理の責任者が別の仕事兼務…防護業務の比率は「5分の1」(読売新聞2022年4月27日)
 
参照元
柏崎刈羽原発、核物質管理の責任者が別の仕事兼務…防護業務の比率は「5分の1」

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)のテロ対策に重大な不備が見つかった問題で、原因や改善状況を調べてきた原子力規制委員会は27日、中間報告書をまとめた。報告書は、核物質防護管理の責任者が別の仕事を兼務し、防護業務の比率が「5分の1程度」と他の原発より著しく低かったなどとして同原発固有の問題だと結論づけた。
 同原発を巡っては、所員が他人のIDカードを使って中央制御室に不正に入った問題が昨年1月に発覚。侵入者を検知する複数の設備が長期間故障していたにもかかわらず対策が不十分だった問題も判明し、規制委は昨年4月、事実上の運転禁止命令となる「是正措置命令」を出していた。
 規制委の事務局である原子力規制庁は、昨年10月から同原発で追加検査を実施。核物質防護の実態を調べるため、東電以外の全電力会社も調査した。
 その結果、柏崎刈羽原発の核物質防護管理の責任者は労災事故の対応業務なども兼任しており、規制庁の調査に対し防護関連の業務比率が「5分の1程度」と回答。核物質防護に関する会議に出席せず、防護本部への出入りも少なかった。
 他の電力への調査では、これほど業務比率が低い責任者はいなかったという。このため規制委は報告書で一連の問題を「他電力に共通する問題や東電の全社的な問題ではなく、柏崎刈羽原発に固有の問題」とした。
 一方、同原発内で行われた複数の工事で安全を軽視し、コストダウンを優先させる不適切な指示や技術検討があったかについても調べたが、報告書では「形跡はなかった」としている。
 規制委は今後、追加検査を継続し、核物質防護を巡る業務環境や組織文化など8項目について東電の対策を評価。最終報告書をまとめた後、是正措置命令を解除するかを議論する。最終報告書をまとめる時期については明言していない。
 原子炉等規制法は、原子力施設を持つ事業者に対し、核物質防護管理の責任者を少なくとも1人置くことを義務付けている。
KEY_WORD:KASHIWA_: