[2024_09_25_07]【抗議声明】 東京電力による使用済み核燃料輸送の強行に抗議する 原発を動かす限り、使用済み核燃料は増え続ける これらを青森などに押しつける政策は、もはや破綻している 輸送に反対する行動を各地で取り組んだ皆さんのご健闘に心から連帯します 2024年9月25日 たんぽぽ舎(たんぽぽ2024年9月25日)
 
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【抗議声明】 東京電力による使用済み核燃料輸送の強行に抗議する 原発を動かす限り、使用済み核燃料は増え続ける これらを青森などに押しつける政策は、もはや破綻している 輸送に反対する行動を各地で取り組んだ皆さんのご健闘に心から連帯します 2024年9月25日 たんぽぽ舎

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◎ 原発は運転すれば大量の核のごみを出す。
 その中で最も危険なのが使用済み核燃料だ。
 使用済み核燃料はこれまで、多くが六ヶ所再処理工場に輸送されてきたが、その貯蔵プールも既に満杯になり、2016年からは止まっている。

 しかし9月24日、東京電力(東電)柏崎刈羽原発から青森県むつ市に向けて使用済燃料の海上輸送が始まった。これは「中間貯蔵施設」への
輸送だ。
 むつ市に建設された中間貯蔵施設は、リサイクル燃料貯蔵(RFS)という会社が運営しているが、この会社は東電(80%)と東北電力(20%)による合弁企業であり、事実上子会社だ。実質的には東電が造った貯蔵施設だ。

◎ 東電は福島第一原発事故を引き起こした責任会社だ。まだ賠償も廃炉も途上である。保有する唯一の原発は、震災後に運転を停止した後、稼働していない。
 そのうちの7号機は再稼働の手続き中で、地元合意があれば動かせる状況になっているが、今回の輸送と再稼働は本来は関係ない。

◎ 今回の輸送の目的は、リサイクル燃料貯蔵の施設の使用前検査合格のために行われる。
 実際に貯蔵する燃料が入った容器がないと検査が終わらないので、そのためだけに運ばれる。

[1]日本海は現在「地震多発警報」中

◎ 1月1日に発生した能登半島地震では、100キロ以上離れた柏崎刈羽原発にも津波が到達した(原発に波高計がないため正確な高さは不明である)。また、近くの上越市では5.9mの遡上があったと報告されている。
 この地震は、断層活動が想定されていた96キロを大きく超えて150キロの規模で連動したと考えられている。
 地震が起きるたびに予想を超えて何かが起きる。
 日本ではいま、そんな現実に直面している。謙虚になって、自然災害が想定内に収まるなどと考えてはならない。

◎ 能登半島地震は日本海側の地震活動が、最近特に活発になっていることを示しており、今後数年にわたって、同様の規模の地震が発生する可能性があると考える必要がある。
 その中でも能登半島から佐渡島にかけての海域には多数の活断層があることは知られており、これらの断層が動き、大津波が柏崎刈羽原発を含む富山県から新潟県沿岸に押し寄せると考えなければならない。
 ところが東電は、その時期に長い間おこなってこなかった使用済み核燃料の輸送計画を立て、24日から26日にかけて実行した。(むつ小川原港到着は26日の予定)

[2]最も危険な輸送を強行して何の利益があるのか

◎ このような中で輸送を強行するのはきわめて無謀だ。
 では、その無謀な行為をして誰にどんな利益があるのか。
 先に述べたとおり東電自らが今回の輸送と再稼働に関係はないとしている。
 しかし実際には「既成事実化」の一環であると考えなければならない。
 7号機の使用済み核燃料プールは97%埋まっており、このままでは再稼働できない。
 桜井雅浩柏崎市長はこれを80%以下に下げることが再稼働を認める条件としている。それは他の号機に燃料を移せば可能だし実際に7号機から4号機に一部の燃料を移している。
 しかしながら原発から搬出できなければ、いずれにしてもプールは逼迫する。

◎ そこで六ヶ所再処理工場の稼働見通しなど立たなくても、搬出すればプールが空き、運転ができるというわけだ。
 柏崎刈羽原発以外でも、高浜、大飯、美浜原発のある福井県でも同様のことが起きている。

 関西電力と福井県との間では、搬出先の見通しが立たないと老朽原発の再稼働は認めないとの県と関電との「約束」があり、そのため高浜原発の燃料の一部をフランスに運ぶ計画や、上関町に中間貯蔵施設を中国電力と一緒になって建設する計画などが打ち出された。

 また、東北電力も女川原発2号機の再稼働を控えているが、プール貯蔵率は75%で運転再開から4年ほどで満杯になる見通し。
 そのため敷地内に乾式貯蔵施設を28年に稼働させる計画という。
 中間貯蔵施設への燃料輸送の目的は、原発の運転継続のために他ならず、そのためには最強の核のごみを青森県や、どこかに押しつけようとする計画の一環だ。

[3]再処理工場の稼働見通し立たず

◎ 六ヶ所再処理工場は、ついに27回目の延期が決定し、最新の予定は「2027年3月末」。2024年9月の予定が2年半延びた。規制委員会での審査に1年半、その後、使用前検査等で9か月〜1年を要するという内容だが、これも「絵に描いた餅」に過ぎない。
 難航を極めている工事計画の審査が1年で終わるとは考えられない。

◎ その後の使用前検査では、2007年から2008年のアクティブ試験時に失敗を重ねたガラス固化体の製造試験が含まれる。試験運転のときに放射能で汚染され、入室困難な「レッドセル」の検査はどうするのか。
 新たな完工目標もとても無理だ。
 こうしたことも、原発にとっては「関係ない」ことなのだろう。

◎ 核燃料サイクル政策をとっている限り、原発から使用済み核燃料は再処理施設や中間貯蔵施設に運び出され、そのまま無期限に貯蔵し続けることになる。
 RFSは50年以上は貯蔵しないとの協定を結んでいる。50年を超える直前に具体的な搬出計画について提示できるよう取り組んでいくという。また中間貯蔵事業の確実な実施が著しく困難となった場合の措置として、施設外への搬出を含め適切な措置を講ずるという。
 これらも「絵に描いた餅」に過ぎず、保障されているわけではない。

◎ 原発を動かす限り、使用済み核燃料は増え続ける。
 これを青森などに押しつける政策は、もはや破綻している。それにもかかわらず強行することは到底認められない。
 使用済み核燃料輸送は危険である。
 輸送沿岸の自治体には通知されない。
 事前に情報を得て対処する準備をすることさえできない。
 防災は自治体の専権事項といいながら、この場合は全く埒外に置かれているのだ。

 使用済み核燃料輸送の強行に抗議の意志を表明するとともに、輸送に反対する行動を各地で取り組んだ皆さんのご健闘に心から連帯します。
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