| [2025_11_07_07]「安全」より「再稼働」を優先する東京電力 柏崎刈羽原発の「技術的準備完了」発表に抗議する 次々と損傷する機器類を前に再稼働どころではない 柏崎刈羽原発の再稼働を認めることはできない 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2025年11月7日) |
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04:00 東京電力は2025年10月28日、柏崎刈羽原発6号機について「再稼働に向けた技術的準備が整った」と発表しました。 しかし、この発表は到底容認できるものではありません。東電が口にする「技術的な準備完了」は、安全性が確認されたことを意味せず、むしろ深刻な欠陥を見過ごし、その原因さえ未解明なままでの「見切り発車」に他なりません。 1.制御棒駆動装置の事故原因は依然として不明 東電は、柏崎刈羽原発6号機の制御棒駆動機構において、「205本のうち1本が引き抜けなくなる異常」があったことを公表しました。 その原因として「ローラーがガイドチューブに引っかかった可能性」を挙げましたが、なぜローラーの動きが固くなったのか、なぜ中空ピストンとボールナットが正しく接合しなかったのか、根本的な説明は何もありません。 しかも制御棒駆動系統のトラブルは、わずか2カ月前の8月にも発生し、その後、全数点検では異常が認められなかったにもかかわらず、再び発生したこと自体が構造的欠陥か製造品質の問題を疑うべきです。 それにもかかわらず、東電は「不具合装置は取り替えた」「動作確認は終わった」として再稼働に向けた準備完了を宣言しました。 これは、「原因未解明のまま復旧作業を終えた」ことに他ならず、それを「安全が確保された」と言い換えているにすぎません。 2.東電の「安全最優先」という言葉の空洞化 東電は「気づきや不具合があれば立ち止まり、安全を最優先に確実に対応していく」といつも述べています。 しかし現実には、不具合の原因が究明されていないにもかかわらず、再稼働準備を完了したとする主張そのものが、安全を軽視している証左に他なりません。 東電は「安全最優先」と口にしながら、実際には再稼働スケジュールを優先していることを自ら暴露しました。 3.規制庁の追認と、制度の形骸化 さらに問題なのは、原子力規制庁がこの東電の説明を追認していることです。 「事業者の対応に問題はない」とする姿勢は、検査官の現場確認をもって形式的に監督責任を果たしたとするにすぎず、独立した規制機関としての役割を果たしていません。 規制庁が「推定原因」の段階で再稼働ではなく詳細点検と原因究明を命じなければ、福島第一原発事故で学んだ「想定外の連鎖」を再び招くことになるでしょう。 4.東電の技術では原発の運転は不可能 柏崎刈羽原発では、ここ数年ウィスカ(スズ結晶)発生による短絡トラブル、通信伝送系統の損傷、特定重大事故対処等施設の工事遅延など、経年劣化や管理不備に加えて工程管理もできない状態が続いています。 こうしたことは偶発的に起きているのではありません。技術的にも「老朽化」と組織的な劣化の表れなのです。 制御棒トラブルで見られるのは、安全を検証しないまま次のステップに進む東電体質そのものです。 5.住民無視の「再稼働ありき」姿勢 東電はこれまでも、県民の慎重な姿勢を軽視してきました。住民投票条例制定運動が続いていた時も、再稼働準備を進行させていました。 今回の「準備完了」発表も、知事の同意手続きが始まる前に「再稼働は技術的に問題ない」と印象づけ、地元合意の形成を圧迫する狙いがあると見られます。 県民の安全と意思を無視し政治的既成事実を積み上げて再稼働を押し切ろうとするやり方は、断じて許されません。 6.再稼働を止め廃炉に向けた取り組みを 柏崎刈羽原発6号機は、制御棒の不具合、経年劣化、情報伝達系の損傷など、重大な安全上の問題、懸念を抱えています。 「技術的準備が整った」という東電の発表は、実際には「原因を解明できないまま再稼働へ突き進む宣言」にほかなりません。 柏崎刈羽原発の再稼働は「第二の福島」を招く危険な行為です。 再稼働は認めることはできません。 |
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