[2024_09_17_05]汚染水と汚染土 鎌田慧(ルポライター)(東京新聞2024年9月17日)
 
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汚染水と汚染土 鎌田慧(ルポライター)

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 新宿御苑に福島原発事故後の「放射性汚染土」を運びこむ。環境省の暴挙だが、先週金曜日、その反対集会に参加した。

 福島県の大熊町、双葉町には、汚染された田畑を潰して、「除染土」という名の「汚染土」が東京ドーム11個分も積み上げられている。原発敷地内には千個の汚染水タンクがあって、「処理水」として海に放流中だ。
 破壊された原発建屋と無機質のタンクの林立、圧倒的な茶褐色の土の繋がり。これらの荒涼たる風景を見るだけでも、故郷を追われた人たちの悲しみが迫ってくる。

 「処理水」に続いて「除染土」の県外搬出が国の大事業になっているのだが、その「実証事業」の候補地として、こともあろうに新宿御苑が選定された。
 「一点突破、全面展開」の攻略作戦、とわたしは集会で批判したのだが、まず都心の有名公園を占拠して、安全だ、とするデモンストレーション。

 それが環境省の攻略作戦。原発推進の経済産業省内に、原発の「安全・保安院」が設置されていたのとおなじ出来レースだ。
 この日発言したまさのあつこさん(ジャーナリスト)によると、「大熊4工区土壌貯蔵施設」の空間線量は東京の33倍あるという。
 30年以内の最終処分は困難だ。だから他県にもはこんで「再生利用」という。
 それでもまだ、自民党政権は原発再稼働を強行している。
(9月17日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
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