[2025_06_23_04]「電話くらいメンテナンスできないのか」柏崎刈羽原発で4度続いた衛星電話の故障 再稼働準備進める東京電力の「慢心の表れ」か(新潟日報2025年6月23日)
 
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「電話くらいメンテナンスできないのか」柏崎刈羽原発で4度続いた衛星電話の故障 再稼働準備進める東京電力の「慢心の表れ」か

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 東京電力は再稼働を目指す柏崎刈羽原発で、6号機の原子炉に核燃料を装てんする作業を21日に終えた。地元同意を求める優先対象を7号機から6号機に変更する可能性も高まっている。その一方、柏崎刈羽原発では昨年から今年にかけて、重大事故時の連絡手段となる衛星電話の故障が4度続き、原子力規制委員会の追加検査を受ける事態となった。万が一への備えに疑問符が付き、東電が設置した第三者委員会からも「慢心」を指摘する厳しい意見が上がっている。
 「電話くらいしっかりメンテナンスできないのか」。11日に開かれた柏崎市議会6月定例会議の一般質問で、答弁に立った柏崎市の桜井雅浩市長は、東電に対し改めて苦言を呈した。
 柏崎刈羽原発では、衛星電話の端末やアンテナが、2024年11月から25年1月にかけ計4回故障した。
 東電は、原発の安全性に大きな影響をもたらすものではないとするが、桜井市長は「小さな事柄が大きな事態の引き金になることを危惧する」と、過小評価しないよう求めた。
 衛星電話は 、東電福島第1原発事故の経験を受けて整備したものだ。事故時の原発からの連絡は、住民避難などあらゆる災害対応の契機になり、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長も「極めて重要」と認める。
 故障は、7号機の心臓部に当たる「中央制御室」で1回、事故時に司令塔となる「緊急時対策所」で3回発生した。特に緊急時対策所は、6号機の事故時にも使用するもので、6号機と無関係ではない。
 原子力事業者は、原子炉の安全確保に必要な設備の数などの条件を「運転上の制限」として定めている。燃料が装てんされると、原発運転時と同じレベルの保安水準が求められる。衛星電話の故障はこの保安水準を逸脱するもので、1年間に4度重なったことを受け、規制委は追加検査が必要と判断した。追加検査は5月下旬に実施し、1〜2カ月をかけて結果をまとめる。
 県技術委員会で委員を務める中島健・京大名誉教授は「東電は、国に対して自分で約束したことが守れなかった」と問題点を指摘する。
 福島事故後の信頼回復を目指す東電に対し、助言する立場の有識者の中にも厳しい見方が出ている。
 国内外の専門家でつくる東電の原子力改革監視委員会のデール・クライン委員長は5月の記者会見で「繰り返し発生したことは許容されるものではない」と言及。米原子力規制委員会でトップも務めたクライン氏は「東電が詳細まで十分に目を向けていないと言える。慢心の表れでもある」と強い言葉で改善を求めた。
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