| [2026_02_23_03]〈社説〉原発テロ対策 規制委の独立が問われる(信濃毎日新聞2026年2月23日) |
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06:00 福島第1原発の事故から15年。原発再稼働のハードルは、どんどん下がっていく。 原子力規制委員会が原発の新規制基準で義務付けたテロ対策施設について、設置期限を延ばす方向で見直す方針を決めた。期限内に設置できず運転停止に至る原発が多いためとしている。 建設業界の人手不足を理由に、昨年10月に電力各社などが延長を求めていた。延長すれば、施設が未完成でも設置期限内なら原発を動かせる「猶予期間」が延びることになる。 本来なら再稼働前に設けておく施設だ。電力業界の意向が安全確保より重視されていないか。独立堅持を掲げて発足した規制委の存在意義が問われる。 施設は「特定重大事故等対処施設」と呼ばれ、航空機の衝突のような緊急時に対応する制御室や注水ポンプなどで構成する。 現在は原発本体の設計・工事計画の認可から5年以内に設ける必要があり、間に合わなければ原発は運転できない。見直しは、新基準の審査合格後、営業運転を始める日を起点とする案が軸という。 現状でも新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働は、猶予期間を「抜け道」として使っている。 規制委は福島事故の翌年に発足した。それまでは、原発を推進する経済産業省の中にある原子力安全・保安院が規制を担っていた。電力側の働きかけで「骨抜き」になり、安全軽視につながった反省の上に設けられた。 一部の電力会社は2019年にも延長を要望。その際は「設置に手間取っているから、もう少し(延長しよう)と繰り返していると安全向上は望めない」と退けた。 だが、岸田文雄政権が原発推進を表明すると政策転換に追随した。老朽原発の廃炉を進めていくため「原則40年、最長60年」と定めていた運転期間は、経産省の主導でなし崩しに。規制委は十分な議論がないまま容認した。 規制委は今回、人手不足など労働環境の変化は延長の理由にならないと判断した一方で、見直しを決めた。山中伸介委員長は会見で、守れないルールを押し通すのは規制当局のあるべき姿ではないとし「継続的な規制の改善だ」とした。規制委の主体的な判断と見せかけた規制緩和としか思えない。 政府は原発の最大限活用を掲げて再稼働を進め、新増設にも意欲を示す。政治や電力会社とは一線を画して規制行政の独立を保つことが今こそ求められる。規制委は原点に立ち返るべきだ。 |
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