[2026_02_14_06]柏崎刈羽原発6号機のトラブルはやまない 中性子計測装置に問題が生じ現在原子炉は停止中 「再稼働直後に起きた」ことの意味と問題点 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2026年2月14日)
 
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柏崎刈羽原発6号機のトラブルはやまない 中性子計測装置に問題が生じ現在原子炉は停止中 「再稼働直後に起きた」ことの意味と問題点 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

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 1.何が起きたのか

 問題が起きた装置は炉心内の中性子計測装置であるインコアモニタのうち可動式検出器。炉心内に林立している52本の案内管に挿入されている。その中で固定されている測定素子4個と移動式炉心内計装系の測定素子1個で構成されている。この移動する1個を上下に動かしながら中性子束すなわち出力分布を測る。
 この移動式の測定素子が案内管内で動かなくなった。

◎事象

 現在、柏崎刈羽原発6号機は再稼働後に実施されている「起動後試験」の過程にある。
 東電の「柏崎刈羽原子力発電所6号機の起動状況」において「2月13日 午前9時 〜 2月14日 午前6時までの実施内容(実績)」として、移動式炉心内計装系(TIP)1系統(C)調査で、原因調査の結果、TIP検出器の行き先を振り分ける装置(索引装置)のスイッチにおいて、接触不良が発生し、動作が不安定となったものと判断、念のため(C)系統の当該スイッチを取替え、適切な位置に調整し、2月14日午前4時36分に、正常に動作することを確認」としている。もっと分かりやすくいえば、「インコアモニタが案内管内部で動かなくなり、所定の位置まで移動できなくなった」という状態が発生した。

◎プラント状態のイメージ

 日報(2月14日版)によれば、この時期の6号機はまだ発電出力0MW、炉内圧力0MPaといった「起動準備から起動初期」の段階だ。
 圧力容器の内部温度も定格の273度には達しておらず、現在温度としては111度とされている。段階的に設備確認を進めている段階だった。
 インコアモニタの動作確認は、まさにこうした起動工程の中で行われる試験である。
 したがって、この事象が起きた時点でも、高出力運転中ではなく、起動試験の一環としての操作中だった。

 2.原因についてあり得るメカニズム

 公表された資料(日報)では、インコアモニタのトラブルそのものの記載は何ら説明されていない。つまり、この報告からは「インコアモニタが案内管内でスタックした原因」までは読み取れない。
 したがって、原因について「確定して言えること」は今の段階ではない。
 確定している事実としてわかるのは、インコアモニタが案内管内で移動不能となり、所定位置まで動かせなくなったことだけ。
 それがどの部位で、どのような動作不良を起こしていたかは、そもそも炉内の案内管内であるため、このままでは調べようがない。
 一般論としては、「BWRのインコアモニタで典型的に起こり得るメカニズム」として考えられることは、次のようなものがあると思われる。

◎機械的干渉や変形など。案内管のわずかな曲がりや変形または支持部のずれ、検出器本体や検出器から出ていて外部まで繋がっているケーブルの変形や固着、これらが組み合わさると、ある位置で物理的に引っかかり、上下動ができなくなる可能性がある。

◎案内管内に存在する腐食生成物や堆積物または異物が引っかかったことも考えられる。長期停止中に案内管内に腐食生成物や堆積物が付着したり微小な異物が残存したりして摺動部の摩擦が増大したり噛み込みが生じて駆動トルクを超える抵抗力が発生し、動かなくなった。

◎駆動系や制御系の異常事態発生。モータやギアの劣化、ケーブルの損傷などが発生した。制御ロジックの設定不良(トルク制限・位置検出の異常判定など)実際には物理的には動けるのに、制御側が「異常」と判断して停止させるケースもあり得る。

◎整備・組付けのミス。長期停止中の点検や交換作業などでの組付けでミスが発生した場合。ガイドの芯がずれていたり、クリアランス調整が不良だったりすれば起こり得る。

 3.「再稼働直後に起きた」ことの意味と問題点

 長期停止設備の健全性評価の妥当性への疑問が生じる。制御棒駆動機構のトラブルについて山中伸介規制委員長は、6号機は長期停止後の再稼働であることで「初期不良」などという間違った認識を示していた。
 しかし6号機は1996年に運転を開始した、30年経過した老朽炉だ。むしろ、案内管やインコアモニタ系統の劣化評価が必要な設備だ。交換や補修、起動前の実機試験の内容が本当に十分実施されていたのかが問われるレベルなのだ。
 再稼働から間もない段階で、しかも安全上重要な計測系で「動かない」という不具合が出たこと自体が、評価や準備の甘さを示すシグナルである。
 安全上重要な計測系の信頼性低下ということも問題だ。インコアモニタは、炉心出力分布の把握や安全余裕の確認に使う装置だ。冗長性があるとはいえ、「案内管内でスタックする」という現象は、単なる1チャンネルの測定能力の喪失ではなく、構造の健全性や他のモニタへの波及リスクを想起させることだ。という意味で重い。
 「安全を確認するための目そのものが信用できるのか」という疑念を生じている。
 そして、起動工程のリスク管理についても問題がある。
 起動工程は、まさにこうした不具合を炙り出すためのプロセスだから、問題が生じたら直ちに停止して見直すということは当然である。
 しかしながら、この原発はこうしたトラブルが余りにも多すぎるのである。
 さらに、情報の公開状況も極めて不十分だ。今回のトラブルについても、問題が発覚した時点における出力レベルや、発生した系統の説明や、不具合発生時にどういう基準で続行あるいは停止を判断するのかという「起動試験計画」の妥当性が、明確ではない。原子炉を起動しなければ中性子の計測系統の試験は出来ないという理屈はあるにしろ、事前に駆動系統で物理的問題は生じないことがどこまで確認されていたかは公表するべきだ。
 また、原子炉起動前に、こうしたことが発生しないようにする対策が十分行われていたといえるのかも今回の事象を通じて再検証されるべきだ。今回のトラブルは、運転前に「見つかったから良かった」ではなく、「なぜ事前に潰せなかったのか」を問うべきレベルのである。

 4.再起動した6号機

 朝日新聞によると、6号機で発生した中性子計測系統のトラブルで、「索引装置のスイッチが不安定になり、一つの計測器が装置内で動かなくなったため、手動で回収。その後の調査で、スイッチの接触不良が判明した」ことで、回路を変えることで作動したことから、14日午後、原子炉を再起動したという。
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